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ベンケイソウ

写真:オオベンケイソウ(ベンケイソウの近縁種)(ogurisu_Q/ PIXTA)

 

 お盆を過ぎても収まらない猛暑。節季は処暑(しょしょ)を超えたものの、いまだ天気予報からは猛暑日という言葉が消えてくれません。ここまで高温が続くと、夏のガーデニングは大変です。

「本当に暑すぎるよね。梅雨明けまでは順調に育っていた夏野菜が全滅しちゃった!」

「うちも日焼けでだめにならないよう、お花はすべて日陰に隠してます。」

 まったく、ガーデナーならずとも、手に負えない暑さですね。これまでは南向きで日当たりのよい場所が重宝されてきた日本の住まいも、これからは北向きに変わってしまいそうです。

 とはいうものの、日脚(ひあし)は徐々に短くなっており、これからは日に日に植物の成長が活発になっていきます。一足先に高山で咲き始めているベンケイソウもこれから花盛りとなります。

 ベンケイソウは、ベンケイソウ科ムラサキベンケイ属に分類される多年草です。歴史への登場は『本草和名(ほんぞうわみょう)(延喜(えんぎ)18)』にベンケイソウの中国名「景天(ジーンティエン)(けいてん)」に対する和名「伊岐久佐(いきくさ)」が当てられていることから、平安時代前期には原産地の中国から渡来していたことがうかがわれます。中国の原産地は温帯から亜熱帯の山間部で、日本国内でも本州から九州の山間部に生息しています。

 ベンケイソウの古名「いきくさ」は、茎や葉を切ってバラバラにしても生きていることから「生きる草」が転じたといい、その強い生命力が武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)強靭(きょうじん)さを思わせるところから、後に「ベンケイソウ」と呼ばれるようになったといわれています。

 ベンケイソウの有用性は、その薬効です。世界最古級の本草書(生薬の解説書)『神農本草経』に上・中・下の上薬として記載され、以降その薬効が現代にいたるまで代々漢方薬の主成分として利用されてきました。ただし、なかなか民間療法というのは危険を伴うので、我々は観賞用として栽培することにとどめておきましょう。

 夏の山間以外では、ベンケイソウ群生を見られる場所はあまり多くありませんが、薬用植物園やロックガーデンのある公園などで見ることができます。また、園芸店ではこれから開花していくベンケイソウの仲間やその園芸品種が並べられているので、興味のある方はそちらもご覧くださいね。

 それではまた~!

執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦