
写真:山林に植えられたエビネ(岡崎市真福寺のエビネ園にて筆者撮影)
ついこの前までサクラが咲いていたと思ったら、いつの間にかツツジ、ボタンが咲き終わり、ついにはフジまでも開花時期を過ぎてしまいました。温暖化のせいでしょうか、何となく年々花の咲く時期が晩春に集中しているようです。
「そうね~。やっと春になったかと思うと、いつの間にか夏が来ちゃうって感じ!」
まさに、そのような季節感をもっておられる方は多いのではないでしょうかね~。今回ご紹介させていただくエビネも例にもれず開花が早まっているものの一つです。
エビネはラン科エビネ属に含まれる種で、中国江蘇省西南部から広東省北部、および朝鮮半島南部と日本が原産地です。日本は自生種ですが、歴史への登場は『山科家礼記』の延徳3年3月24日(現5月3日頃)の条に「エヒ子ツミ(エビネ摘み)」の記述が見られるものが最も古く、原産地から都へ渡ったのは室町時代以降と思われます。
エビネという名の由来は、この株の根元(過去数年分の偽球茎)が地表に連なる姿がエビの背に見えることからきているようです。ちなみに中国名も虾脊兰(蝦の背骨の蘭)と、やはり同形容から付けられています。
「へぇ~、普通に山野草と思ってたけど、エビネもランの仲間なんだね。」
はい、そうです。過去にご紹介したネジバナやサギソウと同様です。ただし、エビネはこれらと違って強い日照を嫌うので、生息地は中山間の山林等、夏でも涼しい日陰地に生息しています。エビネは以前投機の対象になった影響で乱獲が進み、さらには山林の保全放棄地が増えていることから、国内の自生地は絶滅の危機に瀕しています。
「それは残念ですわね。何とか残せませんの?」
はい、国内の原生地ではそれぞれがこれを絶やさないよう努力をされています。力及ばずですが、できる限り、このような活動を応援したいものですね。
それでは最後に4月下旬から咲き始めている愛知県岡崎市真福寺のエビネ園の映像をお送りし、今回はお別れです。
5月中旬くらいまで見られると思うので、お時間があればお出かけくださいね~!
YouTube動画「お花の歳時記」
執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦