とよあけの自然

衣服に付着する実~分布を広げるための工夫~

衣類に付着する実の画像


 草原を歩くと、ズボンなどの衣服に沢山(たくさん)の実が付着して、取るのに大変困ったことがありませんか。市内では、衣服や動物に付着して分布を広げる代表的な帰化(きか)植物にアレチヌスビトハギ、オナモミ、イノコヅチ、コセンダングサがあります。
 アレチヌスビトハギはマメ科で、実(豆果(とうか))の形がヌスビトの足跡に似ているからつけられました。この実の表面には粘液があり、しかも棘(とげ)の先が曲がっているので衣服から取りはずしにくい原因となっています。
 オナモミはキク科で、棘を多数持った約1センチのイガ(果包(かほう))をつけます。「くっつき虫」とも言われ、棘の先端がかぎ状に曲がり、動物や衣服に簡単につきます。こどもの頃、このイガを相手の体に投げいくつ付いたか、またはバッチのように付けて遊んだものです。
 イノコヅチはヒユ科で、細かい棘を持つ実(胞果(ほうか))が簡単に花軸(かじく)を離れ、衣服などに付きやすくなっています。
 コセンダングサはキク科で乾燥した空(あ)き地に生育します。実(そう果(か))は扁平(へんぺい)で、両肩には2本の棘があり、さらに、その棘に斜め下を向いている細かい棘が生えているので付着します。

 

市史編集委員 小笠原 昇一