とよあけの自然 

330万年前の大噴火 ~磨(みが)き砂は火山灰だったのだ!~

330万年前の大噴火の画像
        

 若王子池(にゃこうじいけ)南方の沓掛町のたんぼの脇に小さな崖(がけ)があります。ここに厚さ約2mの白っぽい砂のような地層が顔を出しています。手にとってみると、サラサラしていて磨き砂の感触があります。火山灰なのです。この火山灰層は、発見地の名をとって沓掛(くつかけ)火山灰層と名づけられました。
 顕微鏡(けんびきょう)で見ると、扁平型(へんぺいがた)と多孔質(たこうしつ)の火山ガラスが入っていることが分かります。火山ガラスの形状のほか、屈折率や火山灰に含まれる鉱物組成などを調べ、それがどこから飛んできたか推定することができるのです。火山は、近畿から中部にかけての地域に存在したと考えられます。
 ジルコンという鉱物の中を放射線が通過した数を計数する方法により、沓掛火山灰層の噴出年代は、約330万年前と側定されました。第三紀鮮新世(だいさんきせんしんせい)中頃のことです。気候は今より温暖で、亜熱帯性の植物が繁茂(はんも)していたことが、周辺地域の同じ時代の地層を調べることにより明らかになっています。
 この時期、豊明市周辺はどのような環境になっていて、どんな生物が棲(す)んでいたのでしょうか。沓掛火山灰層の発見によりこうした情報が詳しく分かるようになったのです。

 

市史編集委員 森 勇一