とよあけの自然 

市内の活断層 ~撓曲(とうきょく)のできるメカニズム~

市内の活断層の画像

 豊明市沓掛町 上高根の道路上に比高6メートルの急坂があります。何気なく通っていると、なぜそこに坂があるのか気づかないかもしれません。このあたりの地層は、今から数万年前に形成された中位段丘と呼ばれる河川堆積物で作られていて、ほとんど凹凸のない平坦な地形面が連続しています。
 よく見ると、坂はこの場所だけでなく、北方にも南方にも連続していることが分かります。この坂の下に、地盤の食い違いすなわち断層が走っていて、上にのる地層がまるで水あめのように曲げられてしまったのです。
 このように、地下の断層の影響で、地表付近の地層が撓(たわ)んだり曲げられたりする現象を「撓曲(とうきょく)」といいます。こうした変動が地質時代の最後の時代である第四紀に発生したことがはっきりしている場合には、「活断層」と呼ばれます。活断層は、その名のごとく活きていて、1000年から3000年くらいの周期で地震を引き起こしながら活動しているのです。
 沓掛町上高根の地下には、「猿投-境川断層」と呼ばれる活断層が通っていて、いつか直下型地震が発生する可能性が指摘されているのです。

 

市史編集委員 森 勇一