とよあけの自然 

世界最小のトンボ ~ハッチョウトンボ~

世界最小のトンボの画像

 体長18ミリのハッチョウトンボは生息域が限られ、飛翔距離も極めて短いです。低地から丘陵地の湿地や湧水地などにしか生息せず、丘陵地の開発によって生息地が失われつつある中で、良好な自然環境の目安としての指標昆虫となっています。
 成熟した雄は腹部が真っ赤になり、雌は黒色、黄色、褐色のまだらで、雌雄まったく異なる体模様でそれぞれ大変美しいです。市内では生息地が僅(わず)かに確認されているのみです。5月下旬から9月中旬に見ることができますが、個体数も減少の傾向にあります。他のトンボ類に比べ交尾時間が極めて短く数秒から十数秒が一般的です。交尾後、雌は湿地の浅い水溜(たま)りに打水産卵し、雄は周辺で雌を守ります。雌は産卵後その場を離れます。卵はやがて孵化(ふか)し、幼虫(ヤゴ)で越冬し、翌年の5月下旬頃から羽化(うか)がはじまります。最盛期は7月下旬から8月中旬で、美しい姿を見せてくれます。

市史編集委員 浅井 常典