珪酸分を含んだ水が樹幹の細胞中にしみ込み、長い年月の間に木質部が石化したものを珪化木といいます。珪化木は、本市でも丘陵地を構成する東海層群の地層より、しばしば発見されます。
沓掛町豊山の粘土採掘現場から見つかった珪化木の樹種を調べてみると、コナラ属であることが分かりました。それでは、東海層群の地層が堆積した時期、すなわち今から350万年前、本市周辺にコナラの仲間が森林を作っていたのでしょうか。
手がかりは思いもよらないできごとからもたらされたのです。水位低下した岐阜県内の木曽川河床からおよそ1500万年前の林立する樹幹化石が見つかりました。これらは今も洪水のたびごとに削り取られ、移動しているらしいのです。
東海層群の地層中より発見される珪化木は、これを含む地層の周りに生えていた樹木というより、木曽川河床に見られるような1500万年前の化石林に由来する可能性が高くなってきたのです。