陸上生物に四季の変化があるように、水の中の植物も季節によって変化しています。
水ぬるむ春、胞子や卵で越冬していた珪藻類が二分裂を開始します。ブルーミングと呼ばれる珪藻の一斉増殖は、ときに湖や池の色が変化するほど激しいものです。
水温の上がる夏、藻類は盛んに光合成を行い、細胞数を増やします。この時期、水中は大小さまざまな水生植物が繁茂し、さながらジャングルのような状況になります。海ではこのような場所は藻場と呼ばれ、多くの生き物に餌やかくれがを提供しています。
日照時間の短くなる秋、緑藻の仲間のアオミドロは盛んに接合するようになります。生活環境の悪化に対応するため、二分裂から有性生殖に切りかえ、DNAの交流を図っているのです。
氷が張った真冬の池の水を顕微鏡でのぞくと、中に藍藻の仲間のユレモを見つけることができます。ユレモは、低水温や高温の温泉水、極端に汚れた水域に生活する耐性型の水生植物なのです。