とよあけの自然 

オオイヌノフグリ ~鳥の眼に映った青い大空~

オオイヌノフグリの画像

 気持ちのよい春の日差しを受けて、野原や土手を歩いてみませんか。様々な春の野草が育っています。それらの中に、濃青色の筋のはいった一際鮮やかな色彩を放つ直径1センチ程の青い花がきっと目につくことと思います。これはオオイヌノフグリと言い、明治時代にヨーロッパより渡来した帰化植物です。現在では全国に広がり、市内でも普通に見られる雑草で、太陽の光が差すと開花します。元々イヌノフグリという小さく目立たない紫色花の在来種があり、それに似ていることからつけられた名前です。「フグリ」とは「陰嚢いんのう」のことで、花が終わった後の花柄にぶら下がった倒心臓形の果実の形状からついたもので可憐な花の様子にはふさわしくない可哀想な名前です。因みに英名ではこの仲間は「バーズ・アイ(鳥の目)」と呼ばれ、パッチリ開いた鳥の目に、鮮やかな大空の青色が反映した状況をイメージして付けられた呼び名のようです。晴れた春の青空の下、陽光を浴びてパッとさいた花にピッタリの表現ですね。日本でも、地方によっては「星の瞳」と呼ぶところがあるようですが、こちらはロマンチックきれいな呼び名ですね。

 

市史編集委員 成田  務