1 「自主防災組織」の必要性

 平成7年1月に発生した阪神・淡路大震災は、大規模災害における公的な消防防災体制の機能の限界を示す災害でした。

 (社)日本火災学会の調査によれば、この大震災により生き埋めや建物などに閉じこめられた人のうち、救助された約95%は自力でまたは家族や隣人によって救助され、専門の救助隊に助けられたのはわずか1.7%でした。

 これは災害が大きければ大きいほど被害者数が膨大となるのみでなく、消防を始めとする防災関係機関自身の建物・車両などや道路や橋梁などが被害を受け、防災関係機関の災害活動に支障をきたすケースが増大するからです。

 このことからも消防などの公的機関が、発災直後に多数の被害者に対し、迅速に対応することは非常に困難であり、発災直後の人命救助や初期消火は近隣の住民の力に頼ることが多いことが分かります。

 そして、発災直後の初動期では情報なども混乱し、防災機関による適切な対応が困難となることから、地域住民が相互に助け合い、人命救助や初期消火に努めることが被害の軽減に大きな役割を果たすこととなるのです。
 そこで、地震やその他の災害から命・財産・住居などを守るために、また、住民が自分たちの地域は自分たちで守るという、自覚や連帯感に基づき自主的に結成する組織である「自主防災組織」結成の必要性が近年増大しているのです。