ハクセキレイ~変化したセキレイの勢力図 その1~

ハクセキレイは駐車場や道路、芝生広場やグラウンドなどを走り回っている鳥といえば、おわかりになる方が多いと思います。今ではそのぐらい身近な鳥ですが、かつては冬鳥として渡来し、市内では繁殖しない鳥でした。ところが愛知県では1990年代以降に急激に数を増やして繁殖するようになり、1年中見られる留鳥(りゅうちょう)へと変化しました。
生物が分布を拡げてくるとすぐに地球温暖化といわれがちの最近ですが、ハクセキレイの場合、繁殖地を北方から南下させたことや、海岸部から標高の高い内陸部へと拡大させたことがわかっています。つまり、温暖化で南方系の種が北方へと分布を拡大するのと逆方向へ拡大したことになります。そして繁殖地の拡大過程で都市部へと侵入してきた結果、現在では身近な鳥へと変わっています。
ハクセキレイはユーラシア大陸を中心に分布域が広く、地域によって模様が少しずつ異なることから複数の亜種に分けられています。
豊明市史(自然)執筆員 吉鶴 靖則
広報とよあけ 令和7年12月号 とよあけの自然掲載