ナガバノイシモチソウの葉についた点々について~小廻間(こはざま)湿地一般公開での質問の回答 その(1)~

ナガバノイシモチソウについた黒い点々写真

 花の写真は美しく撮りたいもの。ましてや国内で2か所でしか見られない赤花のナガバノイシモチソウでしたら、なおさらそう思われる人もおられるでしよう。被写体にこだわる人でしたら、花や周りの葉などでも、傷みや汚れに気をつかいます。すると気になり出すのが葉の毛についた黒い点々のようで、ときどき質問を受けます。

 ナガバノイシモチソウは食虫植物です。細長い葉に腺毛(せんもう)を持ち、そこに引っ付いた昆虫などを消化吸收して栄養分の一部を得る植物です。腺毛は遠目には白い毛のように見え、先端に水玉のような粘液をつけています。黒い点々の正体は粘液についた昆虫などの獲物で、消化吸収中のものや消化できなかった残骸(ざんがい)などです。白い腺毛は逆光では透き通って美しい被写体となりますので、黒い点々はその美しさを壊す印象を受ける人が多いかもしれません。ですがこの点々こそ食虫植物の証(あかし)ですので、大胆に構図に入れる発想も一案だと思います。

 

豊明市史(自然)執筆員 吉鶴 靖則 (広報とよあけ 令和7年6月号 とよあけの自然掲載)