メジロ~目白押しの語源になった鳥~

ハゼノキの実を食べに来たメジロの写真

 多人数で混み合った状況や、物事が集中してあることを示す「目白押し」という言葉があります。これはメジロが枝に押し合うように密着してとまる姿から連想されたものです。メジロはとくに冬に大きな群れをつくり、花蜜を吸ったり、木の実を食べたりする姿が見られます。しかし、群れで動く姿は観察できるものの、目白押しはなかなか見られません。なぜなら、主に目白押しとなるのは、ねぐらの中で寝るときだからです。ねぐらとなるのは雑木林の茂みの中などの見づらい場所で、時間帯も夜です。このため、言葉が知られている割に、見る機会にはなかなか恵まれない生態といえます。この目白押しには、群れのきずなを強める役割や、寒さをお互いの体温で暖め合う防寒の意味があると考えられています。

 目白押しは他にも巣立ちビナで見られ、メジロとエナガという鳥によるものが有名です。群れる鳥すべてが目白押しで枝にとまるわけではなく、見られる種は限られています。

豊明市史(自然)執筆員 吉鶴 靖則(広報とよあけ 令和6年1月号 とよあけの自然掲載)