厳しい経営状況が続く下水道事業において健全な経営を行うため、2026(令和8)年4月1日から下水道使用料を改定します。

将来にわたって下水道施設を維持し、下水道サービスを安定的・持続的に提供していくため、必要な使用料のご負担について、ご理解とご協力をお願いいたします。

改定の概要

改定後の下水道使用料について

改定後の使用料体系や計算方法については、下水道使用料のページをご覧ください。

 

主な改定内容

項目 改定内容 改定理由

基本使用料

1,100円から1,400円(2か月あたり・税抜)に改定。 固定費の占める割合が高い事業構造を反映し、排出量に影響されにくい経営基盤を構築するため。

従量使用料

一般家庭を想定した100㎥以下(2か月あたり)は、ほぼ一定の改定率で増額。 事業者からの排出量に依存した使用料体系から排出分布を踏まえた使用料体系に改定し、使用者間の負担の公平化を図るため。
1㎥から10㎥(2か月あたり)の区分を新設。(単価は改定前から据え置き) 少量使用者の負担軽減を図るため。

 

改定を行う理由

経営の健全化

今後5年間の見込み

本来、汚水処理に必要な経費は下水道使用料で賄うことが原則です。しかし、現状は下水道使用料だけで賄うことができておらず、引き続き経営改善の取組みを実施してもなお、今後も汚水処理に必要な経費を賄えない状況が続く見込みです。

今回の改定により、必要な経費を使用料で賄えるようになり、自立した経営基盤を築くことができます。

受益者負担の適正化

現状、不足している収入については、一般会計から補てん(市の税金で負担)しており、下水道を使用できる人と使用できない人で公平性が保てていない状態になっています。

今回の改定により、一般会計から下水道事業への補てんが減り、公平性の確保につながります。

また、一般会計からの補てん財源として主に都市計画税が使われていますが、下水道を利用できる区域内において、都市計画税を負担する区域と負担のない区域があるため、都市計画税による補てんを段階的に減らしていきます。

改定に至った経緯

下水道は、生活環境の向上と公共用水域の水質保全を担っており、都市機能を維持し、日常生活を送る上で重要な施設です。

本市においては、1971(昭和46)年の供用開始以降、下水道施設の整備を進めてきました。

下水処理については、愛知県の施設である境川浄化センターにて行っています。豊明市を含め9つの市町で共同処理が行われており、各市町は負担金を愛知県に支払っています。

近年では、節水機器の普及や節水意識の高まりに起因した水需要の減少により、下水道使用料の増収が見込めない状況にある一方、過去に整備した施設の更新費や老朽化した施設の維持管理費の増加、電力費等の物価上昇による境川浄化センターの負担金の増加など、下水道事業の経営環境は厳しさを増しています。

これらの課題に対応していくために2020(令和2)年度からは公営企業会計を適用して、独立採算制の原則に基づく健全な経営を求められることとなりました。『独立採算制の原則』を下水道事業では、「汚水処理に必要な経費は、下水道の使用者から納付いただく下水道使用料で賄われなければならない。」と言い換えることができます。

これまでも下水道事業では、下水道使用料の収納率向上(収入の増加)やコストを抑える(支出の削減)ための経営改善として、『愛知中部水道企業団への徴収事務委託』や『下水道計画区域の見直し』などの取り組みを行ってきました。しかしながら、依然として厳しい経営状況が続いています。

 

経費回収率

令和2年度 令和3年度 令和4年度 令和5年度 令和6年度
84.81% 88.67% 88.77% 84.05% 90.78%

公営企業会計移行後の令和2年度から直近の令和6年度までの5年間の経費回収率の表です。

『経費回収率』とは、使用料で回収すべき経費(汚水処理費)を、どの程度使用料で賄えているかを表した指標で、この指標が100%以上であれば、「汚水処理に係る経費を下水道使用料で賄うことができている」状態であると言えますが、表のとおり100%に達していない状況が続いています。

収入と支出の状況(令和2年度~令和6年度の5年間の総計)

収入と支出 

公営企業会計移行後の令和2年度から直近の令和6年度までの5年間の収入と支出の総計を示したグラフです。

下水道使用料(収入)は、5年間総計で30億2,857万円。一方、汚水処理に係る経費(支出)は、5年間総計で34億6,522万円となっています。この差額である4億3,665万円が使用料で賄うことができていない金額であり、現状ではこの不足分を市の税金により補てんせざるを得ない状態になっています。

収入と支出の推計(令和8年度~令和12年度の5年間)

収入と支出の推計

令和8年度から令和12年度までの今後5年間の収入と支出の推計を表したグラフです。

令和8年度では、収入が6億2,100万円、支出が7億9,500万円で、差し引き1億7,400万円の不足が見込まれ、今後5年間では約8億円の収入不足を見込んでいます。このように、引き続き経営改善の取組みを行ってもなお、汚水処理に係る経費(支出)を下水道使用料(収入)で賄えない状況が続く見込みとなっています。

 

以上の状況から、2024(令和6)年に下水道事業経営検討委員会を設置し、学識経験者や各種団体、公募委員の方々に4回にわたり、健全な経営について審議をしていただいた結果、経費回収率100%を目指すことが必要であるとの答申をいただきました。
経営検討委員会からの答申を受けたことから、答申を踏まえた改定案を作成し、令和7年9月に開催されました豊明市議会定例会に関係条例の一部改正案を提案したところ、改定案は原案のとおり可決されましたので、2026(令和8)年4月1日から下水道使用料を改定することになりました。
なお、使用者の皆さまに負担をお願いするだけではなく、引き続き経費の削減や経営の効率化に取り組んでまいりますので、ご理解とご協力をお願いいたします。

 

下水道事業経営検討委員会の審議内容

開催日 審議内容
2024(令和6)年12月23日 下水道使用料見直しの必要性について(諮問)
2025(令和7)年2月14日 下水道事業における将来推計と使用料改定の方向性について
2025(令和7)年4月18日 下水道使用料の体系案の検討について
2025(令和7)年6月19日 適正な下水道使用料について(答申)

豊明市下水道事業経営検討委員会の資料・会議録については、下記リンク先のページをご覧ください。

下水道事業経営検討委員会

 

下水道使用料改定についての住民説明会

2025(令和7)年8月9日に、使用料改定の経緯や改定内容について、市民のみなさまにご説明することを目的とした「住民説明会」を開催しました。

参加者への配付資料は以下のとおりです。

「下水道使用料改定についての住民説明会」配付資料(PDF:446KB)

 

今後の下水道使用料の改定について

少なくとも5年に1回の頻度で、経営改善等の具体的取組みや中長期的な経営状況などを踏まえ、下水道使用料改定の必要性の検証を実施することとしています。