平成27年6月定例月議会の開会にあたりまして、市政運営に関する私の所信の一端を申し上げて、議員ならびに市民の皆様方のご理解とご協力をお願いするものであります。

 いま、豊明市をとりまく環境は非常に厳しい。

 大きく2つの問題を豊明市政は抱えています。

 ひとつは、少子超高齢化。毎年扶助費が3億円近いレベルで上昇を続けるのに対し、税収は伸び悩んでいます。何より問題なのは、30代から40代前半の世代において、豊明市から世帯ごと市外へ流出する傾向が続いていることです。

 生産年齢人口の減少は、直近の問題として、市内の消費低迷と企業の人手不足、それに市の税収の減少につながり、税収の減少による市民サービスの劣化によりさらなる人口減少につながってしまうという悪循環に陥りかねません。さらに、子どもが市外に流出するということは、将来、若い生産年齢人口がさらに減ってしまうことを意味します。

 もうひとつの問題は公共施設の老朽化とこれに伴う更新の問題です。豊明市は40年ほど前に一気に発展しました。多くの公共施設も人口の急増にあわせて同じ時期につくられました。結果、1970年から80年代前半に多くの公共施設が建てられています。そのため、いずれの施設も老朽化が進み、公共施設の維持管理に毎年、多くの予算を費やさなければならないのが現状です。今議会に提出させていただいている補正予算案もほとんどが施設の老朽化対策であり、新たな市民サービス向上に向けた事業を展開するための予算を捻出するのは困難な状況です。

 この「箱もの」といわれる建物に、道路や下水道などのインフラを加えた更新費用に、今後40年間で1200億円以上という莫大な金額が必要という将来予測がすでに試算で出ています。

市民サービスを維持しながら、いかに施設の長寿命化と統廃合を進めるか、これは日本全国の自治体共通の課題です。

 本市は、今年度から来年度にかけて全庁あげて検討を進め、計画を策定してまいります。しかしながら、公共施設の更新費用を計画通りに抑えたとしても、いまのままでは、豊明市の財政が将来行き詰るのは明白です。

 一方で、ものづくり愛知県は自動車産業を中心に全体として景気は回復傾向にあり、企業活動も活発化しています。

 また、豊明市をとり囲む各市町も人口は現在は増加傾向にあります。名鉄名古屋本線の急行が止まる駅を市内に有し、高速道路も横断する豊明市は、地域全体の経済環境からいえばV字回復できるはずでありながら、非常に残念なことに、この地域で豊明市だけが取り残されている、それが私たちの目の前にある現実です。

 この議場に集う20名のすべての議員各位に訴えます。この豊明市が置かれた危機を突破するため、すべての議員、そして、すべての市の職員の叡智を結集させ、豊明市の課題解決に全力で取り組もうではありませんか。市内の団体、企業、そして市民の皆様おひとり、おひとりに広がるまで、市民一体となって人口増加に取り組む、その方向性をすべての市民にご理解いただけるよう、議員各位のご理解とご協力を切に求めてやみません。

 重ねて申しあげます。豊明市にとって、最大かつ喫緊の目標は人口の増加、これに尽きます。

 特に30代から40代前半の人口流出に歯止めをかけ、逆に他市から魅力ある豊明市に流入するように人口動態を転換させる、これを4年間の最上位の目標といたします。

すべての政策は、この働き盛りの人口を増やす最上位目標とつなげて展開してまいります。

 この人口増加に向けて展開する主要な施策として、私は主に3つを掲げます。

  • 住宅の整備促進
  • 公共交通網の拡充
  • 子育て・教育環境の充実

 ただし、施策はさまざまな環境要因の変化にあわせ、最上位の目標である人口増加を達成するのに最も適した施策をとれるよう柔軟かつスピーディに対応していきます。

 また、さらに税収を増やすため、豊明市がこれまで消極的だった企業活動の支援、それに企業や事業所の誘致を積極的に展開してまいります。

 豊明市の税収入は約4割が個人市民税に頼っています。しかし、日本全国の人口が減少傾向にあるなか、個人市民税に頼りすぎる財政運営では、超高齢社会に伴う扶助費の増加を賄えるほどの強さを持ちえません。法人市民税、そして固定資産税の増加に向けて、まずは、現在豊明市で事業を展開されている企業、小規模事業者といわれる個人商店や家族経営される工場に至るまで、持続的に発展できるよう商工会など関係団体も含めて市全体で支援していく体制をつくりあげます。

 さらに、市内の企業、また市外の優良企業が豊明市内で新たな事業展開をするよう促すため、まとまった工業用地の確保に向けて、地域の皆様と対話しながら調査、愛知県との調整を進めていまります。

 私が究極に目指す社会は「壁のない社会」「壁のない豊明」です。障がいのある方も、高齢の方も、女性も、外国人も、すべての豊明市民が、心身のハンディキャップや年齢や性別や国籍の壁を超えて、いきいきと幸せに暮らせる豊明を実現したい。そのためには財源が必要です。財源を確保するためには、人口増加、企業活動の活性化が欠かせません。

 「市民第一、市役所一丸」の精神を貫き、市民の皆様が「確かに豊明市は活気を取り戻した」と実感いただけるよう、市政の前進にひたすら集中する覚悟です。なにとぞ、議員の皆様のご指導とご鞭撻のほどを心よりお願い申し上げて、所信表明とさせていただきます。