豊総第195号 

平成23年6月1日 

豊明市教育委員会 殿

豊明市情報公開審査会

会長 鈴木 堅司

  豊明市情報公開条例第19条の規定に基づく諮問について(答申)

 平成23年3月18日付け豊教学第234号にて諮問のあったこのことについて、下記のとおり答申します。

 

 

1 異議申立て及び審査の経緯

(1)異議申立人(以下「申立人」という。)は、豊明市情報公開条例(以下「条例」という。)第5条の規定に基づき、平成22年12月15日に「豊明市立小・中学校の平成22年度9・10・11月分の職員の在校時間状況記録」(以下「本件申立文書」という。)の開示請求をした。

(2)豊明市教育委員会(以下「諮問実施機関」という。)は、各学校の文書を集めるのに時間を要することから条例第12条第2項の規定に基づき公文書開示決定等の期間を延長し、平成23年1月11日に条例第7条第2号に該当するとして本件申立文書の部分開示決定をした。

(3)申立人は、部分開示決定を不服として同年2月17日付けで異議申立を行い、豊明市情報公開審査会(以下「審査会」という。)は同年3月18日付けで諮問実施機関から条例第19条に基づく諮問を受けた。

(4)本件審査に際し、諮問実施機関から同年4月14日付けで「部分開示理由説明書」が提出され、審査会から申立人に対し「部分開示理由説明書」を送付したところ、同年4月28日に申立人から意見書が提出されたため、同年5月31日に審査を行った。

2 諮問実施機関の主張の要旨

 本件申立文書には、豊明市立小・中学校職員の職名、氏名、在校時間、備考が記入されていて、備考欄にはその日の行事や休暇等が記されているが、この中の個人に関する情報(職名、氏名、備考欄)は条例第7条第2号に規定する「個人の権利利益を害するおそれがあるもの」に該当するため開示しないものとする。

3 申立人の主張の要旨

 申立人の主張の趣旨は、本件申立文書の部分開示決定を取り消すことであり、その理由は次のように要約される。

(1)条例第7条第2号ウで、「個人に関する情報」の対象者が公務員である場合には「当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員等の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」を開示することとなっているが、職務内容が記された備考欄等が不開示になるのは理解できない。

(2)諮問実施機関は、不開示理由を条例第7条第2号に該当する「個人に関する情報」で、「個人の権利利益を害するおそれがあるもの」としているが、なぜ個人の権利利益を害するおそれがあるのか具体的に示していない。

4 本件申立文書について

 本件申立文書は、職員が各自で月ごとの在校時間を記録し、学校ごとに保管している公文書であり、諮問実施機関が不開示とした情報は次のとおりである。

(1)職員の職名及び氏名

(2)備考欄に記入されている行事や休暇の内容

5 審査会の判断理由

 申立人と諮問実施機関との間における本件の争点をめぐる諸問題に関し、当審査会は、諮問実施機関が不開示とした情報についてそれぞれ次のように判断する。

(1)職員の職名及び氏名

 条例第7条第2号本文では、「個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの」については開示しないことができると規定しているが、同号にはただし書で例外が規定されており、「ア 法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」、「イ 人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報」及び「ウ 当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」については、開示しないことができる個人に関する情報から除外することとされている。

本件申立文書には、豊明市立小・中学校職員の職名及び氏名が記載されているが、これについては職員の異動があると新聞にも掲載されるものであり、条例第7条第2号アに規定する「法令等の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報」に該当するため不開示情報にはならないものと考えられる。また、同号ウの規定からも公文書に記載されている公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分を不開示にすることは不適当であり、この部分については全部開示にすることが妥当であると判断する。

(2)備考欄に記入されている行事や休暇の内容

本件申立文書の備考欄には、日ごとの行事の記録や休暇の記録が記載されているが、これについても条例第7条第2号ウに規定されている「当該個人が公務員である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、当該情報のうち、当該公務員の職及び当該職務遂行の内容に係る部分」は開示すべきなので、学校の行事、出張の記録、年次休暇の記録等は開示すべきと考えられる。

ただし、職務の遂行に係らない部分についてはこの規定に該当しないため、療養休暇、出産休暇、看護休暇、忌引のような職務に関係のないことまで推測される特別休暇の内容や個人的な予定の記録等は不開示とする必要がある。よって、このような部分については不開示にすることが妥当であると判断する。

  

6 結論

以上のことから、諮問実施機関が部分開示とした本件申立文書のうち、不開示部分の一部は妥当であるが、一部の不開示部分には不適当な点があるため、その部分については開示することが妥当であると判断する。

7 答申に関与した委員

 鈴木堅司、内藤昌裕、三浦美智子、海老原勝恵