豊明まつりの歴史 ~行政主導の文化産業まつり~

市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その1
 『豊明(秋)まつり』の誕生は、昭和58年にさかのぼる。 毎年11月の第1土日、市役所各課が準備を重ね、市役所を中心とした会場には、たくさんのテントが並び、商工会、農協、文化協会、社会福祉協議会、学校をはじめ、多くの団体が協力し、商業フェア、農産物の販売、文化展等のイベントを開催する。そんな豊明まつりに要する市予算は、約2千万円。行政主導のまつりではあったが、多くの市民が楽しみにする市最大のイベントであった。

 

予算ゼロ査定 そこから挑戦は始まった

市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その2
市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その3
 しかし、市の厳しい財政状況から、年々予算は削減。ついに平成20年度予算編成において、耐震工事を優先するため、不要不急の事業は中止とするとし、「豊明まつり中止」 (豊明(秋)まつりに対する補助金のゼロ査定)の方針が打ち出された。
 しかし、一度でも中止すれば復活は難しく、 まつりという「非日常」を創る過程で生まれる市民相互のネットワークやまちへの愛着が、「日常」のまちづくりの大きな力を産むとという当時の担当者の想いから、 調整を重ね、ようやく200万円(秋まつり)の予算化にこぎつけた。
手探りの中、これまで市民協働課が築いてきた人脈を頼りに市民に声をかけ、実行委員会を設立。かくして、「市民が創る豊明まつり」への挑戦が始まった。

 

市民による企画がまつりを一新 

市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その4
市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その5
 その後、市民主導のイベントとして継続を模索、職員が仕事としてイベントを企画運営する行政主導型のまつりを市民の手作りによる運営に大転換し、市民の実行委員会がイベントを企画 。
 市民による企画はマンネリ化したまつりを一新し、改革初年度は市民から回収したペットボトル2000個で創る高さ6メートルの光のペットボトルツリーがイベントを彩り、2年目は、 桶狭間の合戦から450年の記念の年にあたることから、桶狭間古戦場と織田信長をイメージし市民の手作りにより製作したご当地総踊り「のぶなが総踊り」が誕生した。
 さらに、商工会、農協、文化協会、社会福祉協議会は自主予算でイベントを開催。団体のカラーが溢れる特色に富んだイベントとなり、1日の開催とはなったが、例年に劣らない数の市民が来場、大成功を収めたのであった。

 

そして職員は地域へ飛び出していく

市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その6
市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その7
 同じ頃、市職員は、市民の熱意に応えるべく、ボランティアで準備、運営補助にあたった。一般職、保育士、消防士など、若手から管理職まで、あらゆる職と年齢層の職員が、ステージを自前で運び込み、机や椅子を市役所の倉庫から運び出し、会場設営を行った。
 さらに2年目には、市民が「のぶなが総踊り」を製作していることにあわせて、若手職員が中心となって夏まつりで屋台を出し、自ら稼ぎ出した売上金と、職員全体に呼びかけた募金で資金をつくり、公金をいっさい使わず、「のぶながくん」の着ぐるみを製作、豊明まつりで市民の前に披露された。

 

予想もしなかった成果が

市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その8
 豊明まつりをきっかけに市民の手作りにより製作された「のぶなが総踊り」は、夏まつりや地域の盆おどり等で活用され、ノリのいいリズムと威勢のいい掛け声がイベントを盛り上げている。また、豊明まつりが縁となった市民同士の交流が生まれ、市職員も交え所属を越えた青年の交流が生まれるなど、豊明まつりをきっかけとした地域や市民のまちづくり活動が新たな地域資源となりつつある。
 豊明まつりの成功がきっかけとなり、市では、市民活動や地域活動に必要な備品や公用車を貸出す「公用車貸出制度」や「コミュニティ備品貸出制度」など、新たな支援施策を制度化。予想もしなかった成果がどんどん生まれつつある。

 

市民協働の成功モデルとして注目を集めている

市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その9
市民が創る「豊明まつり」のあゆみの画像その10
 まつりの成功は、新聞メディアや近隣自治体から注目を集め、 市民協働の成功モデルとして視察や研修等での事例紹介の依頼が寄せられるようになった。
 100枚以上の写真と語りによって、豊明まつりのあゆみを臨場感豊かにを紹介 。豊明まつりという、たった1日の「非日常」を創りあげるために、市民と職員が共に汗をかく光景を描き、多くの人に感動 と協働のまちづくりへの勇気を与えてくれている。

【事例紹介等の実績】
  • 岡崎市「業務改善運動成果発表会」
  • 春日井市「業務改善運動成果発表会」
  • 刈谷市「市民協働研修」
  • 愛知県「地域のコーディネーター塾」
  • 和歌山県橋本市「橋本市民まつり検討委員会」 
  • その他議員視察受入  ほか