帰化植物であるが、繁殖力旺盛、日本の気候にマッチするアメリカフウロみょうふかねのすけひとおし べしおゆうせいせんじゅくくそほんそう わべもくさぎきへ回目 めしにい なめ さいだいじょうさいくろ雄蕊は萎れて垂れてしまい、逆に雌蕊はピンと上向いて受粉可能な状態になります。そして3日目には花弁と雄蕊は枯れ落ちて、雌蕊だけになってしまいます。「こういうのって前にもなかったっけ〜?」はい、よく覚えていてくれましたね!シュウカイドウやヤツデなど、このコラムでもいくつか紹介してきましたが、このような性質を雄性先熟といって、同じ一輪の花の上にある雄蕊と雌蕊が受粉して弱い子孫を作らないようにしています。終わりごろから実をつけはじめ、夜温が下がりだすとガク弁が濃桃に染まり実は青黒くなります。この色合いはとても美しく、クサギ特有のものです。青黒い実の色素は染色力が高く、草木染に使われます。このほかにも、クサギの葉は古くは食用として保存されたり、クサギの木を炭化して作った黒炭は新嘗祭や大嘗祭に供えられる黒酒の原料となったり、日本の伝統文化に深く深〜く関わってきた花木なんです。どうか「臭い木」なんて思わず、親しみを持って見てあげてくださいね〜!執筆/愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦ウブ…と初夏から真夏に向かって林の樹木に続々と白い花が咲き続けています。これからはクサギ、ヘクソカズラへと白いバトンが受け継がれていきます。「おいおい、臭いとか屁糞とか、なんか下品な流れになってない?」いえいえ、クサギもヘクソカズラもちゃんとした植物名で、それぞれ個性的な花を咲かせるんです。では今回はそのひとつ、クサギについてお話ししましょう。 クサギはシソ科クサギ属に分類される低木で、中国南西部から朝鮮半島にかけての広い範囲および日本に分布しています。『本草和名』(918深根輔仁)の第九巻草下三十五種には「久佐支」の名称が記されていることから、平安初期には知られていたと考えられています。ただし、この説には疑問があるので、また別の機会にお話ししたいと思います。「それはそうと、どうしてクサギなんて名前になっちゃったのかしら?」それはこの木の葉を揉むとカメムシのような青臭い匂いがするからのようですね。でも、白い花は良い香りなので、花を見かけたらどうぞ近寄って香りを嗅いでみてください。 ネーミングに押されて見落としがちですが、クサギはいろいろ面白いところのある花です。クサギの花は開花1日目には雄蕊が上向きに伸び、先端の花粉は成熟しているのに対し、雌蕊は未熟で受粉できません。2日目になるととよあけの自然掲載100とよあけコラム花マルシェ開花1日目のクサギの花とクサギの実画像提供(雨上がりの歩道橋(左)、Ataka15611 (右)/PIXTA)淡紅色の小さな花排水路に生育するアメリカフウロ クサギの花は暑い間咲き続けますが、夏の エゴノキ、ウツギ、テイカカズラ、クチナシ、リョ38広報とよあけ| 2025.7 |写真/筆者撮影 アメリカフウロは、北アメリカが原産のフウロソウ科の植物です。淡紅色や薄紫色の小さな花を咲かせる一年草または二年草で、日本では帰化植物として各地で見られます。特に強健で、病害虫に強いことが知られ、日本でも野生化しやすく、特に湿地や川辺など湿った環境を好み、環境省によって外来生物法による要注意外来生物に指定されており、管理が必要であることも把握しておく必要があります。 アメリカフウロの特徴は、淡紅色や薄紫色の小さな花と、しょうじょう掌状に深く切れ込んだ葉です。5枚の花弁を持つ小さな花は直径5〜8mmほどで、葉の付け根から細い花柄を伸ばして咲きます。また、草丈が30〜60cm程度に、茎は直立し、多くは繊維質です。アメリカフウロの葉は、互生しており、形状は長楕円形をしています。 アメリカフウロが侵略的な雑草と定義される理由は、その類稀な増殖力にあります。外来種であるアメリカフウロは、日本の自然環境に適応して急速に広がり、一度生育を始めると短期間で大きな群落を形成します。この強い繁殖力は、生態系の多様性を脅かしており、その阻止が大きな課題となっています。 豊明市史(自然)編集員 小笠原 昇一
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