広報とよあけ 令和7年4月1日号
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とよあけコラム花マルシェ至る場所によく見られるアヤメ科ニワゼキショウじんそうりんていそうでんぱようききゃしゃ(Papaver羽って秦の始皇帝の頃の人でしょう、紀元前にはもうヨーロッパから中国にヒナゲシが渡って来てたってこと?」おおっと、すごいツッコミですね!この話は伝説であり、ヒナゲシの伝播を裏付けるにはちょっと無理がありそうですね。中国において虞美人(ユーメイレン)は武人の妻の象徴として、その人気はご主人の項羽を凌ぎ、楊貴妃(ヤングイフェイ)とも並び称されるほどです。また、ヒナゲシの中国名は〝虞美人〟そのもの(虞美人草の〝草〟の字がない)です。「何かヒナゲシって、中国では凄くレベル高くない?」ふふ、本当ですね〜。ヒナゲシの花が紙のように薄く風になびきながらも凛と立つ姿が、美しく華奢でも強い意志で貞操をまもった虞美人に似てるんでしょうかね〜? そんなヒナゲシですが、実はとても丈夫で、一度花が着くと、周りの草をかき分けながら、夏まで咲き続けます。お近くのヒナゲシ畑を探しておいて、春の花が一段落する頃になったら見に行きましょう〜!執筆/愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦 「♪丘の上〜ひなげしの花で〜占うの〜あの人の心〜今日も〜一人〜♬」は昭和48年に大ヒットした歌謡曲。「懐かしい!アグネス・チャンだね?」「この歌は今でも台所で洗い物してる時に自然と鼻歌で歌ってたりしま〜す!」と、昭和『ひなげしの花』ですが、今月も下旬頃からヒナゲシの花が咲き始めることでしょう。今回はそのヒナゲシについてお話させていただきます。 ヒナゲシは、ヨーロッパ原産のケシ科ケシ属に分類されるものの一種です。「ケシ?ケシは栽培禁止の植物でしょう?」そうですね。一般にケシといえばケシ属にあるアヘンの元となる種ナゲシは同じケシ属でも、アヘンとは無関係で普通に栽培できるので安心してください。ただし、あくまでも観賞用植物であって、食用にはできないものなので、決して口に入れてはいけません。 ヒナゲシは、正保2年刊の『毛吹草』巻二の五月に「美人草」という名称で登場し、同巻五の夏において俳句にも詠まれていることから、江戸れます。この他にもいろいろと別名があるようですが、良く知られているのはグビジンソウの名称でしょう。「それ、項羽の妻の虞美人のことだよね?何でも虞美人の墓にヒナゲシの花が咲いたことから虞美人草の名がついたとか?」「え?項somniferum)を指すようですが、ヒしょうほうけふきぐさこうじんじんそうぐびうぐびびひ   時代初期までには日本に伝わって来たと考えらとよあけの自然いたしおくさ たけつるぎじょうせきしょう初夏のヒナゲシ畑(MTony/PIXTA)どこでもよく見られるニワゼキショウの群落ニワゼキショウの花40年以前生まれの人なら誰もが知ってるこの曲34広報とよあけ| 2025.4 | ニワゼキショウは北米・テキサス州原産、アヤメ科ニワゼキショウ属の多年草です。明治時代に日本へ持ち込まれたものが野生化して今日に至っているそうです。草丈は10〜20㎝しかありませんが、幅2㎜ほどの細長い剣状の葉は、小さいけれど立派なアヤメ科の仲間です。オオイヌノフグリやカラスノエンドウなど春を告げる花が一段落して、明るい草原、芝生、アスファルトの割れ目のような所でも日当たりのよい場所に薄いピンクや紫色で星形に似た花弁を開きます。草丈は高くなっても20㎝程度、薄いピンクの花弁が中心に向かって色濃くなり、中心は黄色というものと、全体的に紫色で中心が黄色いものの2つのパターンをよく見かけます。花は1日で萎れてしまいますが、次々を咲かせるので花期は意外と長いです。花の後に丸い果実ができ、そこから種がこぼれて増えます。 名前は葉が石菖によく似ていることが由来のようですが、ニワゼキショウはアヤメ科で、セキショウはショウブ科なので違う仲間となります。 同じ仲間のオオニワゼキショウは、ニワゼキショウより背が高く、ひょろひょろして見えます。花は一回り小さく、まばらにつくので、咲いていても目立ちません。豊明市史(自然)編集員 小笠原 昇一

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