広報とよあけ 令和6年11月1日号
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と花よあマけルシェコラム 枇び杷わ栽培発祥の地で有名な茂木ですね、なるほ琵び琶わに似ていることから名付けられたようです。枇杷橪柿…(夏に熟すものには黄おう柑かん、柚ゆ子ず、ビワ、 もうすっかり秋も深まって、北部山間部では紅葉の盛りを迎えています。節気はこれから立冬、小雪、大雪…と冬へ移行し、鮮やかな花々を見られる場所も、戸外から室内へとシフトしていきます。「ばってん、うちん田舎ではこれから花盛りたい!」おやっ?おたくはどちらの方ですか?「うちん地元は長崎ん茂も木ぎばい。」おおっ!日本のど、まさにこれからがお花の季節というわけですね。「そんとおりばい。」「おいおい、何を二人で盛り上がってるの?」いや〜。長崎の茂木地区は国内で最初にビワ生産を始めた場所で、今もその生産量は日本一なんです。「へぇ〜!で、どうして花盛りなんですか?」それは、これからビワの花が咲き始めるからです。「それでは、今回はビワの花ね?」はい、承知しました。 ビワは、バラ科ビワ(あるいはシャリンバイ)属に分類される常緑果樹で、原産は中国四川省から湖北省にかけてです。その歴史は古く、紀元前巻一百一十七「ス司ーマ馬ーシ相アンル如ーリ列エジ傳(ュアンしばそうじょれつでん)第五十七」に「於是乎盧橘夏孰,黃甘橙楱︐ナツメ…)」と登場しています。中国風景園林樹木学会での発表によれば中国古代の風土記と記載があり、ビワの名はその葉の形が楽器の古くより解熱や解毒などの効果が認められ、多くの本ほん草ぞう書しょに薬効が記載されています。 我々にとってビワの楽しみは、初夏に収穫されるビワの実ですね。「ええ、甘酸っぱくて、独特な味わいですわね。」「香りもいいよね」そうですね。この香りはビワの花が咲いている時からあるんです。ビワの花は、晩秋から白い花が咲きだし、その後冬の期間ずっと咲き続けます。「なんでまた、こんな時季に咲くのかね?」それは他の花との競争を避けるためです。咲く花の少ない冬は受粉を助けてくれる鳥や昆虫などの媒介者を独り占めできるんですね。ただし、冬は媒介者も減ってしまうので、呼び寄せたそれらに長い間とどまってもらうために、大量の蜜を貯めておく必要があります。この蜜は昆虫を誘うための香りを含んでおり、この時季にビワの木の近くを通ると、とても良い香りが伝わってきます。良い香りが伝わって来たならば、そこにビワの木があるかもしれません。そんな時は足を留めて、ビワの花を探してみてくださいね!執筆/愛知豊明花き流通協同組合   理事長 永田 晶彦とよあけの自然オオアオイトトンボ〜秋の深まりを感じさせてくれるトンボ〜 はね『プ莆ーテ田ィェン県シエ記ンジ』に「ー枇ピー杷パー…イ因ンツ其ーイ叶エシ形ンス似ーピ琵ーパ琶ーア而ール得ドゥァ名ミン」90年ごろの『史シー記(ジーしき)/ス司ーマ馬ーチ遷(アンしばせん)』の これから日に日に寒くなっていきますが、ふと34広報とよあけ| 2024.11 |ビワの花(通りすがり/PIXTA)はね翅を閉じてとまるクロイトトンボはね翅を開いてとまるオオアオイトトンボ 秋も深まり日ごと寒さが増して昆虫たちの姿が少なくなってくるころ。最後に盛を迎える昆虫のひとつにオオアオイトトンボがいます。よく似た体形の他のイトトンボたちと違う特徴には、翅を開いてとまることがあげられます。水草が激減した最近では、水草に産卵するトンボも同時に衰退していますが、オオアオイトトンボは産卵が水辺に張り出した樹上の枝のため、激減というほどではないように見受けられます。寒い季節のトンボのためか、暑い夏は薄暗く涼しい林内で過ごし、秋には雑木林に囲まれた池の周りでよく見られます。 観察しやすいのは秋の大狭間湿地の一般公開のとき。湿地にむかう入口の、地蔵池から少し入った右側にある小池の周囲のやぶがポイントです。多くの方はまっすぐ湿地にむかって素通りしてしまいますが、オオアオイトトンボはこのような場所が観察に適しています。興味と時間のある方は、少し道草をして探してみてください。豊明市史(自然)執筆員 吉鶴 靖則写真/筆者撮影

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