広報とよあけ 令和6年5月1日号
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と花よあマけルシェコラム〝♪好ハー一オイ朵ドメ美イリ丽ディ地モー茉リー莉フア花ー,好一朵美丽地ハオーイドメイリディ モ茉ー莉リー花フア~ー♫〟「って、いったい何ですの?いきなり見慣れない漢字をお並べになって!」いやいや、失礼しました。初夏が近づいてくると、中国花文化研究家でもある身としては、ついついこの歌を口くち遊ずさんでしまうんですよ〜!これは「茉モー莉リフ花アー」という歌で、モーリフアー、つまりマツリカの花の歌です。「ということは、今月はマツリカのお話ですね?」はい、これから真夏に向かってマツリカの花が旬になります。 マツリカはモクセイ科ソケイ属の一種で、東南アジアからインドの熱帯に生息する半蔓性の花木です。日本への渡来は『新しん撰せん類るい聚じゅ往おう来らい(丹たん峯ぽう和おし尚ょう/かめ明いお応う〜永えいし正ょう頃)』草そう花かな并らび美にび木もく者ものの章に「茉まつ利り花」とあることから、15世紀にはすでに渡っていたと考えられます。「えっ、熱帯花木なのに室町時代でも栽培できたの?」鋭い!マツリカの耐寒性は10℃くらいです。この時代での栽培はかなり大変だったでしょうから、おそらく中国から伝わった本草書などの記述やお茶に混じって来た花弁の乾燥したものとして知られていたと考えるべきでしょうね。「へぇー。マツリカの花をお茶に混ぜるんですか?」そうですよ!マツリカ最大の特徴はその芳香性で、とても強い香りがします。マツリカの通称はジャスミン。ジャスミンティーとは緑茶にマツリカの花の芳香成分を染み込ませたものなんですね。ちなみに本場中国でのジャスミンティーの呼称は茉モー莉リフア花ーチ茶ャーです。「お、またモーリフアーに戻りましたね?」はい、冒頭の歌「茉モー莉リフ花アー」は日本の歌でいえば「サッちゃん」とか、季節感でいえば「茶摘みの歌」のような、とてもその国の人の心に染みる歌なんです。音符が無いので伝わりづらいと思いますが、曲が流れれば、きっとどこかで聴かれたことがあると思いますよ。この歌詞の意味は「とっても綺麗なマツリカの花、あたり一面か香ぐわしく、枝には花芽がい〜っぱい。匂い立つ真っ白な花をみんなが褒めたたえます…」といった感じです。 さて、これから日々暑さが増し、お茶の時間が大切になっていきますが、たまには中国の愛唱歌などを聴きながら、ジャスミンティーというのも一興だと思いますよ〜。執筆/愛知豊明花き流通協同組合   理事長 永田 晶彦とよあけの自然コバンソウとヒメコバンソウ〜 道端でよく見かける雑草 〜香しいマツリカの花(北の魔女/PIXTA)コバンソウヒメコバンソウしょうすいはや小判草 ゆっくりと揺れ 迅く揺れ清崎 敏郎34 コバンソウ(Briza maxima L.)は、道端や空き地など陽当たりのよい場所を好む雑草で、分類学上は、イネ科コバンソウ属の一年生草本(単子葉植物)です。4月下旬から初夏にかけて枝分かれした細い枝先に数個の小判型の小穂(イネ科植物の穂に相当)をつけ、成熟すると黄色くなることが名前の由来です。小穂は長径1〜2cm、短径1cm程度の楕円形で、やや厚みがあります。なお、この小穂は、10から15個ほどの小花(両性花で花弁はなく、風媒によって分布域を拡げます)が鱗片状に集まったものです。 一方、ヒメコバンソウ(Briza minor L.)は、分類学的にもコバンソウと同じで、形態的にもよく似ています。生育環境もほぼ同じです。5月頃から7月にかけて、枝分かれした多数の糸状の枝に多くの小穂をつけます。小穂は、長さ・幅とも4mm程度でコバンソウに比べて小さく、三角形をしています。また、1つの小穂には数個の小花が集まっています。ちなみに、ヒメとは小さいという意味です。どちらも、ヨーロッパ原産の帰化植物です。文化財保護委員 鬼頭 邦英写真/筆者撮影

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