広報とよあけ 令和6年2月1日号
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ケヤキ〜豊明市のシンボルツリー〜i Makno写真は筆者撮影きょしケヤキは、ニレ科ケヤキ属に分類される日本を代表する落葉広葉樹です。成長すると枝が扇状に広がり、四季の移り変わりに合わせて、春の新葉・夏の緑葉・秋の紅葉・冬の木立と表情を変え、その折々の美しさは魅力的です。ケヤキの花は、春先、若葉が展開する頃に黄緑色の小さな雄花と雌花を若葉の基部につけます(雌雄同株)。風媒花で、秋に結実した種子は、枝葉をつけたまま小枝ごと風によって離れた場所まで運ばれます。葉は互生し、葉の縁には鋸歯といって細かい切れ込みがあり、先端は長く尾状に伸びて尖っています。 学名は、Zelkova serrata で、日本植物分類学の父、牧野富太郎博士が命名されました。ケヤキの名は、「けやけき木」に由来するそうです。「けやけき」とは、「際立って目立つ」「ひときわ優れている」という意味だそうです。材質は堅く、木目が美しいため家具材などに使われています。特に赤褐色の心材(樹心周辺の部位)は、樹脂が多く水分が少ないため、耐水性、耐久性に優れており、由緒ある神社や仏閣などに使用されています。ちなみに、京都市東山にある清水寺の舞台を支える柱は、ケヤキでできています。なお、1972年(昭和47)豊明市市制施行を記念して、市のシンボルにも指定されています。 豊明市文化財保護委員         鬼頭 邦英じ きんしょうふ ろくかんの いちうめはなはちじゅうはち やにひゃくとおかかんちゅうちんしょうはながたはな はいっけいいち りんそうせつきょうほう29  寒を過ぎ、節気は立春を迎えます。立春は二十四節気の第一番目と捉えられることが多く、この日を起点に農事を表現することもあります。「そうそう、八十八夜と二百十日がそれでしょう?!」はい、その通りですね。八十八夜はイネの種を播くのに適した日、またチャの木の新芽を摘み始める日でもあります。二百十日はイネの花が結実する時期で、同時に台風も多くなる頃なので、注意を促す意味で設けられた日ですね。「でも〜、昔の暦って毎年日にちがズレるから、八十八夜も二百十日も年によって気候が大きくズレてしまうんじゃないの?」〜って、とんでもない!二十四節気ほど公理に則った暦はありません。紙面の都合で詳しくお話しできませんが、二十四節気は地球から見た太陽の位置で決められているので、その日の天候は、毎年似通う確率が高いんです。ただし、遠く離れた北方と南方では当然気候が違うので、地域ごとに節気の捉え方を変えなければならない点が欠点です。これに対して同じく古代から使われてきた旧暦または農暦と呼ばれる暦は、月の満ち欠けに合わせて1年を区切るので、ロケーションの影響を受けずに日付を共有できるのが利点です。しかし、同じ地域でも同月同日の天候が毎年ずれてしまいやすいのが欠点です。昔のひとはこれら二つの暦を組み合わせながら上手に生活をしてきたんですね〜! ところで、立春を基準にした雑節で最も親しみのあるのは節分ですよね。節分は立春の前日、つまり寒の最終日なので、まだまだ寒さ厳しい日ですが、この頃から咲き始めるお花の一つがセツブンソウです。 セツブンソウはキンポウゲ科セツブンソウ属の多年草で、関東以西の山林に生息する日本の固有種です。歴史への登場は享保18年刊の『地錦抄附録巻之一』草花の類に「節分草 花形いちりんさうに似たり 一茎一輪づつ開く 色白く梅花のかたち 寒中より葉を出し 立春のひ花開くゆへ節分草といふ 花葉ともに霜雪残る内にいさぎよくながめ珍賞せり」とあり、江戸時代中期には愛好されていたことがわかります。この頃はまだ温室が無い時代で、立春に見られる花はとても希少なものでした。単に観賞ではなく「珍賞」と表現されているところに、そのありがたさが伝わってきますね。 春と呼ぶにはまだ寒い日が多いですが、三寒四温の中、日々顔を見せ始める草木の芽を見つけながら、のんびりと散歩というのも楽しいですよ〜。               執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦  まだ寒い中で咲きそろったセツブンソウ/miya _PIXTAケヤキの種子三崎水辺公園のケヤキ

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