オオバン〜数が増え身近な水鳥に〜 三好善一氏撮影オオバンはからだが黒く、くちばしと額の白いのがとても目立つ水鳥です。上の写真をご覧になって「この鳥、○○池で見たよ。」という人が結構おみえのことと思います。 今でこそオオバンは豊明市内のため池で普通に見られる冬鳥ですが、私が野鳥観察を始めた1960年代後半には豊明市内はおろか、県内でも観察記録の少ない珍しい鳥でした。1972年に豊橋の広い養魚池で一羽見つけた時の嬉しさは今でもはっきり覚えています。 ではいつ頃から市内で普通に見られるようになったのでしょうか。私が市内で初めてオオバンを見て驚いたのは2010年の境川でした。その後は勅使池や若王子池のような大きなため池で徐々に見られるようになり、2019年には二村山の北にある小さな地蔵池でも越冬していましたので、オオバンはこの10年間で市内の身近な冬鳥になったものと思われます。 増えた理由としては、繁殖地の拡大、琵琶湖のような大規模越冬地からの分散などいろいろ言われていますが結論には至っていないようです。 豊明市史(自然)執筆員 浅野 守彦は ちゅう るいへびめ しべ お しべやく31 立冬、小雪、そして間もなく大雪とだんだん年の瀬が近づいております。戸外であたりを見回すと、目に入る花の種類も限られたものになっていて、外にお花を見に出かける人にはちょっと寂しい季節ですね。「そうね〜。特に花木はサザンカくらいしか見当たらないものね〜!」まさに、年末に咲く花木の何と少ないことでしょうか。では今回はハウス鉢花の中から一つお話ししようかと思いましたが、あった、あった、ありました。これから初春までの間咲き続ける数少ない花木の中から、今回はジャノメエリカを紹介させていただきます。 ジャノメエリカはツツジ科エリカ属に分類される低木で、原産地は南アフリカです。園芸植物大事典(1994/小学館)エリカ属の項には、1920年頃誤ってErica melantheraの学名(エリカメランセラ、正しい学名はErica canaliculata)で導入されたという内容の記載があることから、日本への到来は大正あたりだと考えられます。「へぇ、日本における歴史は100年ちょっとってとこね!」そうですね、長い歴史とはいえないまでも、日本の風土において100年以上の間、戸外で栽培されているわけで、もう日本の文化に溶け込んでいる種といってもよいかもしれませんね。エリカ属の種は比較的寒さ、または暑さに弱いものが多いのですが、ジャノメエリカは関東以西の冬の寒さと夏の暑さに耐えることができたので、その所どころで見ることができるんですね。 ジャノメエリカの花の特徴は、その名の通り蛇の目玉のような花の姿です。「うわっ!それって気持ち悪くない?」ハハ、ちょっと爬虫類が苦手な人は慣れるのに時間がかかるかもしれませんね。花をよく見ると、ベル型の花弁の中から長い雌蕊と雄蕊が突き出ており、8本ほどある雄蕊の先の葯は真っ黒で、雌蕊を囲むように黒い半球状に引っ付いて、正面から見るとまるで瞳のように見えます。「僕にはカエルの卵に見えるよ。」「どっちにしろ、私、ムリ!」いや〜、実際に見るととてもかわいい花なので、安心してください。 紅葉シーズンが終わり、閑散とした冬の公園にあって、ジャノメエリカの咲く場所はほんのり暖かみを感じさせてくれます。寒い中、お出かけの時には、どうぞこの花のことも思い出してみてくださいね! 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦黒いからだに白いくちばしが特徴冬に咲き続けるジャノメエリカ(花のカメラマン/PIXTA)
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