広報とよあけ 令和5年1月1日号
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シシガシラ~獅子の頭に似ている~写真は筆者撮影シシガシラは、シダ植物シシガシラ科で、木陰のやや湿った斜面に生えます。日本各地でごく普通種で、豊明市内では沓掛町、間米町、栄町にあります。百獣じうの王であるライオンを「獅し子し」、獅子のたてがみに全体が似ているからです。私は植物の名前と特徴を教えてもらう採集会に参加して、先生が栄養葉を抜き取り、葉よ柄への鱗り片ぺの形が獅子の頭に似ているからシシガシラと教えていただきました。シダ植物は、ロゼット状に広がる栄養葉で生育しています。一般にシダ植物は胞子ができ、湿った場所で胞子が発芽して、1センチぐらいの前ぜ葉よ体たができます。前葉体で造られた卵と精子が受精して、新しい個体ができます。シシガシラは、まっすぐ伸びた胞子葉の裏側に胞子のう(胞子が詰まっている嚢ふ)群が裏の主軸の両側沿いに密着するように、線状につきます。獅子舞とは、お正月などに行われる民俗芸能で、頭を噛かまれると頭がよくなると言われています。豊明市史(自然)編集委員ひゃくくろ小笠原 昇一35Plantsman/PIXTAlantarum Rラリオラムistoria Pプランタラムletia vヴェレクンダerecunda(当時はHヘレボリンelleborine Aアメリカーナloverが上海から日本に赴任するにあたり、同時に持ち込んだCシンビジウムymbidium tトラシアナム 新たな年が始まりました。お花愛好家のみなさんにおかれては、今年こそはちょっと難しそうなお花に挑戦してみようとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?「難しい花って?それ以前にどの花が難しいか難しくないかを区別することが難しそ~!」ははっ。おっしゃる通りですね。失礼しました。では「難しい花」を「ご近所であまり栽培されていない花」に言い替えさせてもらいまして、その代表的なものとして洋ランについてお話ししたいと思います。といっても、洋ランという言葉の表す範囲はあまりに広く、多岐にわたるので、ほんのさわり程度ですが。 ラン科は世界に15,000種以上が生息し、単子葉植物(双ふたば葉にならない植物)の中で最も種しゅの数が多い科です。洋ランとは、ラン科に含まれる植物のうち、熱帯・亜熱帯を起源とし、観賞目的で栽培されるものを指します。したがって東洋ランをはじめ、日本や中国の温帯に自生する種しゅおよびその性質を色濃く残す品種は洋ランとは呼びません。 洋ランの愛好は『Hヒストリアariorum』(Joannis Martyn 1727-1737)によれば「1731年バハマ諸島にあるプロヴィデンス島のBブレティアmericana)というラン科熱帯性種の乾燥標本がイギリスに住むPピーターeter Cコリンソンollinson宛に届き、それがまだ生きていたので、Wウェイガーager氏のガーデンに送られ、加温施設で栽培したところ、翌夏に花を咲かせたことがその始まりであろう」と記されています。その後も世界各地の種しゅが次々とイギリスに持ち込まれ、さらにこれらをもとに続々と新たな品種が作出されました。日本における洋ラン栽培は、旧亜熱帯植物園の広告によれば、安政6年(1859) Tトーマスracyanumが最初だとしています。「いつも奈良時代とか江戸初期とか言ってるのに、洋ランは世界中にたくさんある割には、歴史への登場が遅いんだね~!?」するどい!それは、洋ランの原産地が熱帯の奥地であることに起因するのだと思います。近世以前における、熱帯の生活圏は文化水準が低く、地域交流も限定的だったので、たとえラン科植物を見かけてもその価値を見い出したり、これを他地域に紹介したりする流れは起きなかったでしょう。しかし、大航海時代になり、温帯の生活者がプラントハンターとして、熱帯生活圏に到達し、そして洋ランの存在に気が付き、その後やっと表舞台への道が開けたのでしょうね。 洋ランについては、この先その各属種についてお話をしていきたいと思います。これから春までの間、全国各地で洋らん展が開催されます。お時間があれば、そちらにもお出かけくださいね。 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦homas BB.Gグラバー獅子の頭に似ている葉柄の鱗片シシガシラの胞子葉   いうんういんんゅ シシガシラシンビジウム トラシアナム

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