広報とよあけ 令和4年12月1日号
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写真は筆者撮影惧ぐ種にされていました。この本の豊明市史自然編の調査が実施されたのは1999~2002年のこと。その際発見できなかったチョウが2種、2019年に実施した再調査で発見されました。隣接する名古屋市が2004年に発行したレッドデータブックなごや動物編では、どちらも絶滅危き調査期間も豊明市と同じころですから、当時は発見が難しいほど生息数が少なかった可能性があります。しかし、レッドデータブックが改訂された2015年版では個体数が増加したのか、絶滅危惧種から外されるに至っています。豊明市でも同様なことがあって増加し、今回の発見に繋がった可能性があると思われます。たかだか2種のチョウの増加ですが、これらのチョウを保護するには、生息環境全体を改善することが必要で、人手で行うと大変なことです。増加原因は不明ですが、代わりに目立って減少した種がないようですから、これはうれしいニュースです。豊明市史(自然)執筆員吉鶴 靖則うれしい発見のチョウたち~市史自然編未記録のチョウたち~(沓掛町峠前2019年7月8日)ヒカゲチョウアサマイチモンジ(沓掛町桟敷2019年5月22日) 小しょうせつ雪、そして大だいせつ雪と今の節季に雪の文字が見えるものの、東海道はまだ雪の降る季節ではありません。「ふ~んっ!雪が降らないのにどうして小雪・大雪なんて呼び方するんですの~?」やっぱりそう思っちゃいますよね?これについては以前にもお話ししましたが、二十四節季の考え方は古代中国の中ちゅうげん原(現代の西シーアン安あたり)が基になっています。このあたりは内陸の盆地なので、沿岸部の平地に比べ、秋、冬の訪れが早く、雪の降り始めも早いわけです。日本では山形市あたりがこの地域の気候に近いと思います。  ところで、東海道をはじめ、関東以西の太平洋沿岸では、地球温暖化の影響のせいか、冬の最低気温が下がりきらず、以前は寒さで弱っていた植物が最近は冬越しできるようになってきたように感じます。身近なところではアロエもその一つです。 アロエはススキノキ科アロエ属の総称で、南アフリカからアラビア半島にかけて広く分布する多肉性の植物です。その歴史は古く、すでに古代エジプトでその薬効がためされ、それがヨーロッパや中国に渡り、日本への到来は江戸時代前期以前と推測されます。『大和本草(宝永6年)』巻之十一薬やくぼく木の章に「蘆ろかい薈 其そのあじ味苦ク臭クシテ気きみそれ味其ニ甚はなはだあじにがきアシ苦キユヘニ虫ヲコロス是これシ食ヘハ即臭気去ル」と記載があり、蘆薈はアロエの中国名「蘆ルーフイ薈」の漢字そのままなので、これヲ食シテ口クサキニ胡こすい荽ヲ少すこしくえばすなわちにがアロエを指していることがわかります。ちなみに「胡荽」とはパクチーのことです。この説明にあるようにアロエの成分は「虫下し」つまり下剤としての効能が認められるようです。また、傷薬にも使われ、昭和生まれの人なら火やけど傷の薬として、アロエの枝を折り取った断面の粘液を患部に塗ってもらったことがある人が多いと思います。最近では健康食品としても出回っていますよね。 さて、肝心なお花の話ですが、日本国内にあるアロエの仲間で、特に多いのはキダチアロエとアロエベラです。このうちキダチアロエは今が開花時期です。この種しゅは耐寒性が強く、東海道では戸外で越冬できるため、花壇に植栽されていることもあります。まっすぐ伸びた茎の先で燃えるように赤い花が広がっている姿は、まるで花火が上がっているようです。この花を見かけたなら、ちょっと寒いけど、じっくり観賞してみましょう!もちろん温室のある植物園に行けば、ゆったりと観賞できますよ~!執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦    39キダチアロエの花K.MKARIMONO/PIXTA

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