広報とよあけ 令和4年1月1日号
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 元号が『令和』に改まり、いつの間にか3度目の年が明けました。思い起こせば、新元号が発表されたのちに、その典拠に初めて国書が選ばれたことが話題となりましたが、それは『万葉集』巻五「梅うめの花はなの歌うた三十二首并あわせて序じょ」に「天平二年正月十三日・・・初春令月氣淑風和披鏡前之粉蘭薫珮後之香(初春の令れい月げつにして、気淑よく風和やわらぎ、梅は鏡ぎょう前ぜんの粉こを披ひらき、蘭らんは珮はい後ごの香かを薫くゆらす)・・・」の中の「令月」と「風和らぎ」でしたね?!「そうだけど。また、なんで今頃新元号の話をしてるのかね?」いや~、ご無礼しました。実はここで注目してほしいのはこの序文の中に登場する「蘭」の文字です。 ここに登場する蘭は現代でいうシュンランのことです。シュンランはラン科シュンラン属の一種で、日本と中国に自生しており、このうち中国原産のものを「中国春蘭」、日本原産のものを「日本春蘭」と区別しています。「同じものだけど、生育している場所が違うと名前が違うんですね?」そうです。しかし、同じシュンランという種しゅに分類されているものの、中国春蘭と日本春蘭では、花や葉の特徴に違いが見られ、評価基準も大きく異なるなど、その違いを見比べてみるのも一興です。ここでそれらの違いを説明するのは難しいですが、園芸店や、この時期あちらこちらで開催されるラン展等でご覧いただければ幸いです。 さて、シュンランは普通1本の茎の先端に1輪の花が咲きます。それゆえ中国ではシュンランを「一いっ茎けい一いっ花か(イージンイーフア)」とも呼びます。「へぇ~。じゃあ一茎二花ってのもあるの?」はい。私も以前この質問を中国の関係者にしたところ、「一茎二花は無いけれど『一茎双花(イージンシュアンフア)』というのはある」と教えてくれました。一茎双花は「双そう頭とう蓮れん(シュアンドウリエン)」の別名で、ハスの1本の茎に花が2輪咲いたものを言い、とても縁起の良い現象です。また、一茎一花と対になっているものとしては中国原産の「一いっ茎けい九きゅう花か(イージンジヨウーフア)」というものがあります。日本名はそのままイッケイキュウカで、長い1本の茎に数輪の花を着けます。 それではシュンランについてはここまでですが、皆さん、新春もどうぞお花をお楽しみくださいね。 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦 昭和20年代は、戦災によって衣食住の全てにおいて窮きゅう乏ぼうし、橋の下には風雨を避けて五世帯ほどの方々が生活しておられました。 食糧増産が危急のことであり、河川敷を開墾し、夏期はさつまいも、冬期は麦の栽培をしていました。堤防に生えている草は家畜の飼料やたい肥に利用され、いつもきれいに保たれていました。5月になりワラビの芽が出ると、農作業を終えて帰りに摘んで夕食に頂いていました。また堤のあちこちにクサボケの花を見つけ心がほっとした情景を思い出します。 毎年夏になると水流がなくなり随所に水たまりができ、魚が集まったところで捕まえて夕食にしたものです。 昭和40年頃まで畑にしていた河川敷は、放置され、ササ、クズ、雑木に覆われ魚釣りをする人の姿はいつしか消えてしまいました。 堤防の西側は、夏期に草刈が行われ、昔と同じ場所に、カワラナデシコ、クズ、ツリガネニンジン、ユウスゲなどの花を見つけると、よくぞ生き永らえてくれたと感謝の一言を言いたくなります。豊明市史(自然)編集委員三浦 馨境川の河川敷の今昔カワラナデシコクズ写真は筆者撮影ラン展に展示されたシュンラン日本春蘭‘涼風’(左)と中国春蘭‘賀神梅’(右)広報とよあけ2021年12月1日号P41「とよあけの自然」の(1)タイトル、(2)肩書に誤りがありました。深くお詫び申し上げます。(1)誤:オカマキリ卵のう 正:オオカマキリ卵のう (2)誤:豊明市史(自然)編集員 正:豊明市史(自然)執筆員お詫びと訂正31

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