広報とよあけ 令和3年12月1日号
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 いつの間にか師走となり、人目に付く場所はどこもクリスマスの装飾にあふれてますね。そこで質問、クリスマスに飾る花と言えば?「ポインセチアでしょ?」「でも、ポインセチアは去年登場したから、今回は他の何かよね?」そうでしたね。では、今回はクリスマスにちなんだ花をもう一つ紹介しますね! この時期お花屋さんに行くと「シャコバサボテン」とか「デンマークカクタス」という鉢花が並んでいます。この花は「クリスマスカクタス」とも呼ばれ、多くは晩秋から年末にかけて日本全国に流通しています。 シャコバサボテンはブラジルの高山地域原産の多肉植物で、サボテンの一種として扱われています。サボテンの多くは乾燥地帯の地面に生えている地性種であり、鋭い棘とげを併せ持っています。が、これに対し、シャコバサボテンは山間の木の樹上に引っ付いて生息する着生種で、また、茎が節ごとに尖とがっているものの、いわゆるサボテンらしい棘はありません。余談ですが、シャコバサボテンに近い仲間で「カニバサボテン」という種がありますが、こちらは節の尖りさえありません。日本への到来は、明治45年7月に改正発行された『仙さぼてん人掌特とく科か植しょく物ぶつ要よう覧らん』(『明治サボテンカタログ(昭和31年奥おく一はじめ著)』に著者が転載)に紅花シャコ葉以下3種が紹介されていることから、明治時代以前には日本に入っていたことが判っています。その紹介文を見ると「肉にく葉は巾はば廣ひろく蟹かに葉ばに比し葉よう茎けい節せつ部ぶ最も近く両りょう端たん大おお鋸のこぎり歯はの如く缺けつ刻こくして恰あたかもシャコの手足に酷似し葉よう端たん各かく所しょより眞しんく紅色八や重え三さん段だん咲ざきの奇き花か簇そく開かいして甚だ雅みやび麗うららかなること蟹葉を凌駕すべし」とあります。鋸の歯のように尖っている葉茎の節々が蝦しゃこ蛄の手足に似ているから蝦しゃこ蛄葉ばといい、真紅の八重三段の花が群がって咲く様子はとても華麗だという内容です。  国内では昭和50年代から栽培が盛んになり、カニバサボテン等との交配種を含め、多くの品種が作出され、愛好家が増えました。 この時期購入したシャコバサボテンは管理をしっかりすれば、これを増やしたり、また来年咲かすこともできます。手に入れられた方は花が終わったら、育て方を調べて栽培に挑戦してみましょう。ちなみに花の農家さんが遮光などの技術で開花を早めて出荷したものは、翌年の開花時期が遅くなるのでご承知おきくださいね!執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦八重三段の花が華麗に咲いたシャコバサボテン(LFRabanedo/shutterstock) 写真はオオカマキリの卵がたくさん入っているもので、卵のうや卵らん鞘しょう、卵包などと呼ばれているものです。このオオカマキリの卵のう、産卵された高さでその年の積雪量がわかるという話を聞いたことはないでしょうか。高いところに多く産み付けられていると大雪になるというものです。民間伝承としては元々あった話ですが、これが学問としても検証されたということで、一時はカマキリの積雪予報がドラマティックに伝えられ、自然観察会などでも話題に出るような広がりを見せたのでした。では、積雪量の少ない豊明では、雪国と比較してどのくらい違うのでしょうか。 実は近年、産卵する高さと積雪量には関係性がないという反対の学説が主流となっています。そのため、答えは豊明と雪国で産卵する高さに大差はないということになります。ただし、この学説は専門的な書籍での発表だったこと、民間伝承の否定ではドラマ性がないことなどから、なかなか広がらないようです。豊明市史(自然)執筆員吉鶴 靖則オオカマキリ卵のう~積雪量が予測できる?~産卵された高さで積雪予想をすると1mとなってしまいますが、本当でしょうか。筆者撮影41

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