広報とよあけ 令和3年10月1日号
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 涼しさが増し、待ちに待った秋のガーデニングシーズンの到来です。夏に荒れ果ててしまったお庭の一角の草取り、寄せ植え用のポットに残った土等々、頑張ってお手入れしましょう。「この頃は室内園芸も盛んになってますよね?」そうですね。巣ごもり需要の影響が大きいようですね。室内園芸の主役は熱帯性で葉の美しい植物や多肉植物などの、いわゆる観葉植物です。「うん、僕はこれまで全く植物栽培に縁がなかったけど、コロナ禍になってから室内園芸始めました。」そうですか、ぜひこれを機にいろいろなものにチャレンジしてくださいね! さて、観葉植物と呼んでいるものの多くは熱帯から亜熱帯産で、大部分は寒さに弱いのですが、中には日本原産で寒さに強いものもあります。「へぇ~それは何ですの?」はい、その一つにミセバヤがあります。「ミセバヤって野菜じゃないの?」「何言ってるの!あなた三みつつ葉ばとか芹せりとかと勘違いしてるでしょ?」フフフ、普段あまり耳にしない名称なので、中にはこのような勘違いをされる方もおられることでしょう。 ところでこの「ミセバヤ」という名称については、柳やなぎ原わら紀のり光みつの随筆集『閑かん窓そう自じ語ご』(寛政五~九)上巻の「みせばやといふ草そう名めい語かたり」の項に「故こ民みん部ぶ卿きょう入にゅう道どう為ため村むら卿きょう語かたられしハ、今いま世のよに見ミセセはバやヤと言いえへる草くさを植うへて弄もてあそふこれハかの卿の父大だい納な言ごん為ため久ひさ卿きょうの和歌の門弟に吉野山の法ほう師しにでてああるなもるのかが奥山にて見み侍はべりし草くさとて和歌を添そへて贈りしその歌うたの句に君に見セはやとの詞ことばあり、これによりて見セはやと名なつづけけ置おくくよし為久卿の返事有ありしをたしかに見られけるとなむ」とあるのがもとであると言われています。「ほう、弟子のお坊さんが、自分が見つけた変わった植物を、師匠に“お見せしたい”と手紙に書いたところから付いたんですね?」そのとおりです。「見せばや」=「お見せしたい」という意味なんですね。 ミセバヤはベンケイソウ科ムラサキベンケイソウ属に分類される多肉性の種しゅで、小豆島と奈良県に自生地があります。原生が日本の山間部なので、当然日本の冬を越すことができ、夏の日差しの中でもすくすく育ってくれます。「これはとても育てやすそうですね?」そうなんです。さらにこの時期には花も咲きます。初心者の方でも簡単に楽しめるので、よろしければお試しください。執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦 豊明に自生する針葉樹のひとつにオキアガリネズがあります。愛知県の丘陵地に生育する本種は従来ネズとされてきましたが、現在では山地性の本来のネズと海岸性のハイネズの雑種とされ、オキアガリネズと呼ばれています。 ネズの葉は長さ1~2㎝で先がとがり、さわると痛いことから、ネズミの出入り口に置くとネズミ除けになるとされ、ネズミサシの別名があります。 オキアガリネズの葉の形も同様です。樹形には写真のようにまっすぐ直立する株と斜めに伸びる株の二つのタイプがあります。 明るいやせ地を好み、かつて豊明の丘陵地がはげ山であった頃には多数生育していたと思われますが、近年はヒサカキなどの常緑樹が雑木林を暗くしてしまい、オキアガリネズは大きな株が残るだけで幼木はほとんど見られません。  二村山では世代交代ができるよう常緑樹を間引いて林床を明るくし発芽を期待しましたが、マツは発芽してくるものの本種はなかなか出てきません。この様子から、オキアガリネズは老木が枯死していくと豊明から姿を消すことになるかもしれません。豊明市史(自然)執筆員浅野 守彦岩の隙間で開花したミセバヤ(@@&@@/PIXTA)オキアガリネズ~はげ山時代の残党~直立型のオキアガリネズオキアガリネズの葉と実写真は筆者撮影33

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