広報とよあけ 令和3年8月1日号
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 小暑、大暑と、暑さを我慢してきましたが、まだまだ酷暑は続きます。こんな時は夏の暑さに耐える華麗な花の代表に登場していただきましょう。それではご紹介します。ツリフネソウ科ツリフネソウ属の「ホウセンカ」さんです。どうぞっ!「どうぞって?ホウセンカってちょっと地味な感じだけど、華麗なの?」 そうですね。今では夏にもいろんな洋花があって、少し地味なイメージになってしまったホウセンカですが、この花は中国の歴史上多くの文学者に愛されたスゴイ花なんです。今回はその中の名作をたっぷり紹介させていただきます。(以下漢詩の意訳はすべて筆者による) 明代の詩人瞿チューヨウ佑は、詩『鳳フォンシエン仙』において「高台不見鳳凰飛、招得仙魂慰所思。」(鳳凰が飛ぶのは遥か天空であり、見ることはかなわないが、鳳凰の魂が宿る鳳仙花にその姿を見ることができ、人々は安堵する。)と表現しています。また、唐代の詩人呉ウーレンビー仁壁も、詩『鳳フォンシエンフア仙花』の中で「香紅嫩緑正開時、冷蝶飢蜂両不知。此際最宜何処看、朝陽初上碧梧枝。」(芽吹き、紅の花が咲き香りはじめているのに、蝶も蜜蜂も眠ってしまい、これに気づかない。今鳳仙花を観賞するのに一番似合う場所はどこであろう、それは唯一鳳凰が羽を休めるという朝陽が上る青桐の枝に違いない。)と詩の中にホウセンカを登場させており、どちらもホウセンカの花を鳳凰の化身という特別なものとして扱っています。 ホウセンカの花の色素は指の爪を染めることができ、元代の詩人楊ヤンウェイズェン維楨の『鳳フォンシエンフア仙花』には、すでにその様子が歌われています。このことからホウセンカは中国で「指ズィージアフア甲花(爪を染める花の意味)」とも呼ばれており、近代では、あの毛モウ沢タク東トウ(マオズァドン)が『咏ヨーンズィージアフア指甲花』を発表しています。「百花皆競放、指甲独静眠。春季葉始生、炎夏花正鮮。葉小枝又弱、種類多且妍。万草披日出、惟婢傲火無。淵明愛逸菊、敦頤好青蓮。我独愛指甲、取其志更堅。」(多くの花が競い咲く頃、鳳仙花だけがまだ眠っている。春の終わりにやっと葉が見え始め、炎天の夏に花開く。葉は小さく枝も弱弱しいが、多彩な花色に目を奪われる。ほとんどの花は日照りの下で草と化すが、この花だけは夏の強い日差しを受けて鮮やかさを増す。陶タオユエンミン淵明は菊を愛し、周ジョウドゥンイー敦頤は蓮を好んだ。私は鳳仙花が好きだ、花が咲くまでその志を持って耐え抜く力に心服する。) 古くより文学者たちから聖獣に例えられ、近代中国革命の祖にも感銘を与えるほどの花。やっぱ、ホウセンカってスゴイ!でしょ?執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦 中島八剣社から南を望むと田んぼを挟んで東は境川堤、西側は住宅が点在しています。この地域で年間を通して野鳥の生息状況を観察しました。その結果はスズメ、モズなど33種を記録しました。 春・ツバメの姿を見かける頃になると、田植えの準備作業として田んぼが耕転され、その後を追うようにアマサギ、コサギなどが地中から出てきた虫などを採さい餌じしています。このように機械・人・野鳥が一体的な様子は見ごたえがあります。 夏・日に日に稲が成長し、田んぼの中はサギ類が採餌している姿が多く見られます。また、ツバメは稲田をかすめるように飛び、採餌しています。 一昔前までの、田の草取り作業に汗していた人の姿は見られません。 秋・稲穂が実ってくる頃になると、ツバメの姿はなくなり、スズメ・ムクドリが群れを成して稲穂をついばむ姿を見かけます。稲刈りや脱穀は機械によって行われ、コンバインを追うようにしてイナゴなどの虫を、そして落ちこぼれた籾もみを競うようにしてついばんでいます。 冬・広々した田んぼには、越冬のため北国から渡ってきたツグミが畦あぜ道に姿を現し、電柱には猛もうきんるい禽類のノスリ、チョウゲンボを見かけることもあります。 野鳥・草花・昆虫などを観察していると季節の流れを味わうことが楽しめます。豊明市史(自然)編集委員三浦 馨夏の炎天下で華麗に咲き誇るホウセンカ(鉄/PIXTA)境川流域の田んぼ~野鳥の四季~機械とアマサギケリの幼鳥写真は筆者撮影31

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