広報とよあけ 令和3年4月1日号
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37“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム新型コロナウイルスの猛威もある程度落ち着き、気が付けばあたりは花盛りになってきました。この季節は、津々浦々でいろんなお花を観ることができますが、クワの花もその一つです。「桑って、蚕かいこの餌えさになるやつだよね?花はどんなんでしたっけ?」ええ、そうです。桑は生きいと糸の原料を生み出す蚕の餌として、昔養蚕が盛んであった地域には、この木がたくさん植えられていました。 クワはクワ科クワ属に含まれる種しゅの総称で、北半球に10数種が生息しており、日本にはヤマグワという種しゅが自生しています。ヤマグワの花は縮れた糸状の花弁のとても地味な花ですが、実みは初夏に赤から黒く熟して食用になります。「桑の実って、マルベリーのことよね?!」そうです。今ではこんな洒落た名前をいただいてるんですね。 ヤマグワの歴史は古く『日本書紀』巻第一神代上に登場しており、その後、万葉集巻三 仙やまつみのえのうた柘枝歌三首の二番目の歌には「此このゆふべ暮柘つみのさえだの之左枝乃流ながれこば来者簗やなはうたずて者不打而不とらずかもあらむ取香聞将有」に柘つみという名で登場しています。 「どんなことを言ってるんですか?」この歌は万葉集以前に存在したといわれる『柘しゃしでん枝伝』を基にしています。「味うましね稲という男が吉野川で簗やなを架けて鮎をとっていると柘つみの枝が流れて来て、その枝が美女に変わった。味稲はその美女を娶めとり・・・」という話にかけて「今日の自分はイケてない、もし今夜美女が現れたら、それを得る絶好のチャンスを逃すかも(泣)」と切なる思いを詠ったようです。この伝説の中のクワは柘つみのえひめ枝媛の化身である美しい女性。花は地味ですが、そんなお話を思い浮かべながら、クワの花もご観賞いただければ幸いです。 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦ヤマグワの花と果実(画像提供 Shutterstock:1130107493&1787632442)筆者撮影イチモンジカメノコハムシはかなり平べったい体型で、翅はねなどの一部が透明になっているコウチュウの仲間です。コウチュウはカブトムシなどのように、体が硬い昆虫の仲間で、この仲間で硬い体が透明なものは珍しいです。透明な体は葉と一体化した色になるための保護色で、体が平べったいのは立体感をなくすためで、どちらの特徴も鳥などの外敵から見つけづらくしているものと思われます。かなりの偏へんしょくか食家で、豊明市ではムラサキシキブの木の葉を食べており、この植物を狙って探すと見つけることができます。市史の自然編では鳥に見つかったときにもこの姿勢が捕まえにくくしており、指でその捕まえづらさを体感できることを紹介しています。ところが何度も試しているうち、葉にしがみつくのは少数派で、葉からポトリと落ちる擬ぎし死を行って逃げるものが多いようでした。実験の仕方の差かもしれませんが、市史の訂正が必要かもしれないと思うような結果となってしまいました。豊明市史(自然)執筆員吉鶴靖則イチモンジカメノコハムシ~見つけづらい体と擬死で身を守る虫~二村山のムラサキシキブの葉で見つけたイチモンジカメノコハムシ

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