広報とよあけ 令和3年3月1日号
35/36

35“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム「白しらかば樺~青あおぞ~ら空、南みぃな~み~風か~ぜ~、辛こぶし夷咲く~あの丘、北国の~ああ、北国の春~」は昭和の末近くにヒットした歌謡曲、千昌夫の『北国の春』の歌いだしの部分です。おそらく日本人の多くがこの歌をご存知と思いますが、実はこの曲はすごい曲で、テレサテンがカバーしたおかげもあって、東アジアの多くの人々に知られてるんですね。ただし、歌詞が中国語に直された時点で、シラカバもコブシもなくなってしまったので、その情景が我々の思うそれと同じではないのが残念です。 歌の中で春を告げる花として登場するコブシは、モクレン科モクレン属の種しゅで、日本全土に生息する落葉高木です。仲間のモクレンが中国産であるのに対し、コブシは日本以外には韓国の一部に原産するだけの日本らしい花木です。  ところでコブシの漢字表記「辛こぶし夷」は、唐代の『新修本草』木部上品第12巻に「辛シンイー夷味ウェイシンウェンウードゥー辛温無毒・・・」(辛夷は味辛く温めれば毒がなくなる)と登場します。「ちょと待って!たった今コブシは中国には無かったって言ったところでしょ?」おっ、そうでしたね!ご指摘の通りです。しかし、例によって、この品名を日本の木にあてる作業が行われます。辛シンイー夷に対して、深江輔仁は『本草和名』巻1において「和名也やまあららぎ末阿良々岐」、源順は『倭名類聚抄』巻8で「『崔禹錫食経』云辛夷和名夜やまあららぎ末阿良々木一云古こぶしはじかみ不之波之加美其子可敢之」と表記しました。これらヤマアララギ(山蘭)、コブシハジカミ(拳椒)はともに今のコブシを指しますが、『新修本草』にある「辛シンイー夷」はトウモクレン(唐木蓮)のことをいうらしく、輔仁さん、順さんともにやらかしてしまいました。「久しぶりに、出ましたね!」えぇ。たまには失敗談が無いとつまらないでしょ?ちなみに中国ではコブシを「日リーベン本辛シンイー夷」と呼びます。 コブシは香りが良いので、一枝部屋に飾っても良いですし、生け花にもよく使われるようですね。よろしければお試しください! 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦コブシ撮影  F.F.YSTW/Shutterstock写真は筆者撮影アシブトハナアブやオオハナアブなどのハナアブの仲間の幼虫はオナガウジと呼び、腐植物を食べています。棲すんでいる場所が汚水の場合もあり、形はウジムシ型な上に長い管を持った気持ち悪い感じがすることから、幼虫は嫌われることが多い虫です。見た目で幼虫が嫌われるハナアブですが、成虫となると話は違います。ハナアブの仲間は植物の受粉に多大な貢献をしているからです。花粉媒ばいかい介昆虫として有名なミツバチ、マルハナバチと合わせて、益虫の代表格といえるでしょう。一頭の虫が受粉させる機会で比較すると、ミツバチよりもハナアブの方が多いという研究結果も出ているほどです。アシブトハナアブやオオハナアブはほぼ一年中見られ、成虫で越冬しますので、冬でも暖かな日には活動している姿を見ることがあります。とくに冬に花を咲かせるビワではハナアブは重要な受粉者です。幼虫は気持ち悪いかもしれませんが、温かい目で見てもらえればと思います。豊明市史(自然)執筆員吉鶴靖則ハナアブ~受粉者としての優れもの~ハナアブの仲間の代表格アシブトハナアブオオハナアブ

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る