広報とよあけ 令和3年1月1日号
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29“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム新春の松の内が明ける頃、公園の一角で俄にわかに半透明の花が咲き始めたら、それがロウバイです。ロウバイは、ロウバイ科ロウバイ属に含まれる落葉中木で、原産地は中国です。中国名は腊ラーメイ梅ですが、これと発音が同じで、和名の漢字「蝋ろうばい梅」の簡体字表記「蜡ラーメイ梅」という表現も普通に使われています。 「名前に梅の字が入ってるけど、梅の仲間じゃないのね?」ええ、そうなんです。中国の本草書『本ほんぞうこうもく草綱目』第三十六巻木もくぶきのさん部木之三蝋梅の項には「此このものうめのるいにあらず物非梅類、因うめとときおなじにして其与梅同時、香かおりもまたあいちかく又相近、色いろはみつろうににる似蜜蝋、故ゆえにこのなをえる得此名」とあります。時代としては後付けの論評ですが、梅と同じ時期に咲いて、香りも似ていることから梅の字が入ってるというのは頷うなずけますね。 ロウバイはその名の如く蝋で作ったような半透明の花びらが個性的ですが、もう一つの特徴はその香りにあります。中国では古くより、まだ寒い時分から香を放つ木として珍重され、それを南宋の中興四大詩人に数えられる楊ヤンワンリー万里(1127-1206)は七言絶句『腊梅』で「天ティエンシャンメイシャオビエチューチー向梅梢别出奇,国グオシャンウェイシュースィーレンズィー香未許世人知。殷インチンディーラージエンフェンチュエ勤滴蜡縅封却,偷トウベイシュアンフェンジェイーズィー被霜風拆一枝。」(天は梅の梢に「まだ早い、国の香りはまだ世人に知らせてはならん。」と思おぼしめ召す。慇いんぎん懃に封印をするときの蝋の滴のようなロウバイの花、それをそっと霜風に一枝折らせ、世の知れるところとしよう。)と、まるで解禁を待つ「国家の香り」のように扱っています。「ボジョレーヌーボーみたいね?」ははっ。そう言われれば似てますね! 一説にはこの香りに鎮静作用があるようですが、真偽のほどは専門家にお尋ねください。 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦愛知豊明花き市場のロウバイ半透明の花弁が透けて枝が見える(画像提供:愛知豊明花き流通協同組合)写真は筆者撮影宝石の1つとして数えられるコハク(琥珀)。コハクは樹じゅし脂が化石になったもので、色はコハク色とも称し、透き通った黄褐色や黄色が美しいものです。古いにしえから利用されており、旧石器時代や縄文時代にはすでに飾り物として利用されていました。コハクは古い時代の硬くなった化石ですが、新しい時代の柔らかい化石ではコーパルと呼ばれる宝石もあります。そんなコハクを思わせる現代版のサクラの樹脂を見たことないでしょうか?じつは現代版のこのサクラの樹脂、コスカシバというガの幼虫がサクラの幹に入り込み、その穴から出てきた樹脂です。このためコスカシバはサクラの害虫扱いですが、宝石級の美しいものが1年中見られるという意味では花と共に鑑賞したくなります。見たことがない方はぜひ近くの公園のサクラの木で探してみてください。それほど時間をかけずとも美しさを楽しめると思います。とはいえ、被害は甚大になる場合もありますので、見つけた場合は注意が必要です。豊明市史(自然)執筆員吉鶴靖則コハク?(コスカシバ)~宝石のコハクに見える     樹脂の正体は?~沓掛城址公園で見つけたコハク状の樹じゅし脂ハチのような形でガには見えないコスカシバ成虫

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