広報とよあけ 令和2年11月1日号
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31“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム秋も深まり、何かと風流なできごとに心惹かれるこの頃。お茶会などに誘っていただけるものなら、しっかり正座のトレーニングを積んだ後、茶室の露地をしっとりと歩いてみたいなと妄想します。 さて、露地を見渡せば日本伝統の植物が勢ぞろいしていますが、特に木の根元や岩の足元を指定席として植えられているのがツワブキです。ツワブキは日本の佐渡・福島以南他、東アジアの一部に生息するキク科ツワブキ属の常緑多年草です。その歴史は古く『出雲国風土記』(天平5年)に、嶋根郡にある島々の産物として、和多多嶋、美佐島、結島、久宇島、粟島、小島、鳩嶋、附嶋の八か所で「都つわ波」の名が挙げられており、この都和はツワブキをさすものと考えられています。時代が下り江戸時代『花壇綱目』に「つは」、『花譜』に「通つは和」、『和わかんさんさいずえ漢三才図会』(正徳二年)九十四之末湿草類には「豆つわ和」のように少々表現が変わるものの、基本的に「ツワ」の音でよばれてきたことが分かります。 ツワブキにはいろんな種類があるものの、花はどれもよく似ていて、多くは11月上旬から12月にかけて黄色い一重のキクらしい花を咲かせます。「あら?花は今一つですのね!」まぁ、そうなんですが。ツワブキが本領を発揮するのはその葉姿です。葉は基本的に肉厚で光沢があり、古くより縮緬、白覆輪、金紋、金環、獅子葉などなどいろんな姿かたちのものが選抜され、愛好家たちを熱狂させてきました。現代では日本の数寄屋建築が世界に広まる中で、それにマッチしているツワブキも注目株です! ツワブキの葉ようへい柄(葉の茎部分)はつくだ煮などにしてたべられます。ただし、アルカロイドを含んでおり、事前に毒抜きをしなければいけません。ご自身では料理せず、専門家が調理したものを召し上がってくださいね! 執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦ツワブキ青軸天星(画像提供:愛知豊明花き流通協同組合)写真は筆者撮影この地域はかつて、境川の氾濫と思われるぼた山が5か所ほどあり、松の木が数本ありました。また、川沿いには随所に清水が湧き出ていました。田んぼは、雲形であぜ道は曲がりくねっていました。春には稲の苗づくり、田植え、そして秋に稲刈りまで全てが、備中・くわ・鎌を使って人力によって耕作し、秋の収穫にはあぜ道に沿っては・・ざを設置して稲穂を乾燥した後、近くの畑まで天秤棒で担いで足踏み脱穀機を使って籾もみにしました。田んぼの周辺には、ネズミ・イタチ・シマヘビ・タイコウチ・ウナギ・メダカ・オイカワ・アゼスゲ・ネジバナ・コモウセンゴケなど多種の動植物が生息していました。夏期には、子供達が魚取りやヘイケホタルの鑑賞など楽しんでいる姿が見られました。昭和50年頃に、土地区画事業が施工され、田んぼの形状は四角形になり、コンクリートの給排水路・道路が整備され農作業は、全て機械化され、稲刈りした後は乾田となり動植物の生息環境が大きく変わりました。最近生息している動植物は、外来種のアメリカザリガニ・タップミノ・ユウゲショウ・アメリカミズキンバイが見られ、アゼスゲ・ネジバナ・タガメ・ウナギ・オイカワなどの在来種は見られなくなりました。<参考>手作業で使われた時代の農機具は「歴史民俗資料室」に展示しています。水辺の動植物は「市天然記念物大狭間湿地」で観察できます。豊明市史(自然)編集委員三浦馨境川流域の田んぼ「昔・今」オイカワ機械化された田園風景

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