広報とよあけ 令和2年10月1日号
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29“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムもうすぐ寒露。これを過ぎるといよいよキクの季節。あちこちで菊花大会が開催されます。ところでキク科はとても仲間の多い科で「**菊」と呼ばれる花はたいていキク科の花なのですが、実はキクの仲間ではない花があるのをご存知ですか? 「えーっと、マリーゴールドは万まんじゅぎく寿菊っていうけどキク科だよね?う~ん・・・」おしいっ!結構いいとこ付いてますよ!!答えは一つではありませんが「シュウメイギク」はその一つです。シュウメイギクは、中国中南西部原産のキンポウゲ科イチリンソウ属に含まれる種しゅで、いわゆるアネモネの仲間です。この仲間の特徴は花弁が退化して、ガク弁が花びらのようにみえるところです。「えっ!これもアジサイみたいな花?」ええそんな感じですが、アジサイは派手なガクの近くに地味な花が咲いているのに対し、アネモネの仲間の多くは花弁が全くありません。それならいっそのことガク弁を花弁と呼んでしまえば良さそうですが、植物の構成単位の名称としてはそうもいかないようです。 シュウメイギクの渡来については、文安から文明年間(1444-1487)に成立した国語辞書『節用集』之-草木の項に「芍薬・・・秋シウメイキク冥菊 七斑茄子異名」と初めて登場することから室町時代に中国から持ち込まれたと考えられます。また『花壇綱目』(延宝9年)には「秋明菊 花紫色なり咲比まへ尓同養土肥分極る右同じ也」(花は紫色なり。咲く日は前(の項)に同じ。養やしなう土・肥こえ・分け植えるる(時期)は右(の項)に同じなり。)とあり、この時点で現在の名称「秋しゅうめいぎく明菊」と呼ばれていたことが分かります。ちなみに中国では「秋チウムーダン牡丹」です。 現代は交配が進み、一重のもの、八重のもの、小輪多花、大輪。色合いもどんどん増えているので、シュウメイギクを加えることで、秋のガーデニングの幅が広がりますよ。執筆 愛知豊明花き流通協同組合 理事長 永田 晶彦シュウメイギクの花白い花弁に見えるのはガク弁(画像提供:愛知豊明花き流通協同組合)筆者撮影地球が温暖化しているといわれるようになって久しく、南方系の生物が北上して分布を拡大している種が幾つも知られるようになってきました。ところが生物の世界は面白いもので、北方系で南下した種もいます。生物の分布拡大が確認されると、事の真偽を確かめずに、近年はすぐに地球温暖化とされる傾向にありますが、研究者の間ではこのような非学術的な傾向を問題視する意見も出ています。そのような中でクロコノマチョウは地球温暖化による分布拡大の可能性が高い昆虫として知られ、冬期の気温の上昇が拡大要因にあげられています。愛知県では1980年代ぐらいから比較的見られるようになり、今では豊明市で普通に見られます。成虫で越冬するチョウですから、この時期に見逃しても、春の暖かな日には再び見られる可能性があります。季節型があり、6月から9月は夏型が、10月以降は秋型が見られ、秋型で成虫越冬した後は4月ぐらいまで見られます。豊明市史(自然)執筆員吉鶴靖則クロコノマチョウ~地球温暖化で    定着したチョウ~地面にとまると落葉にまぎれる色模様のクロコノマチョウ

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