広報とよあけ 平成30年10月1日号
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39“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのすとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム 皆さん「中ちゅうしゅう秋の名月」はご覧になりましたか?お天気や忙しさの都合でご覧になれなかった方も少なくないと思いますが、この起源は中国唐代の収穫祈願の夜祭にあるといわれ、これが平安前期に日本に伝わって来たのが始まりだそうです。中秋は中国農のうれき暦(旧暦)の8月15日、現代中国ではこの日を「中ちゅうしゅう秋節せつ(ジョンチゥジエ)」として祝い、それまでの数週間「月げっ餅ぺい(ユエビン)」を贈り合います。日本ではその夜が「十じゅうごや五夜」ですね。でも、農暦は年によって時季がズレるので、たとえば太陽暦の9月中旬に十五夜を迎えてしまった場合は、日本の東海道では、まだ天気が不安定で、十五夜の月を見られる確率も小さくなってしまいます。 これを挽回してくれるのが「十じゅうさんや三夜(後のちの名月)」です。十三夜は平安中期あたりに日本独自で習慣づけられたお月見の日のようで、旧暦9月13日にあたります。この日は早くても今の10月10日頃なので、晴れる場合が多いんですね。今年の十三夜は10月21日です。 「さっきから黙って聞いてれば、お花がいっこうに出てこないじゃん!!!」おっと、失礼。私の頭の中には話の初めからずっと「ススキ」の花がちらついてたものですから、文面へのご紹介が遅れてしまいました。 ススキは東アジア原生のイネ科ススキ属の種で、すでに『古事記』『日本書紀』から登場し始める日本の文化に深くかかわる植物です。植物の名前としては「ススキ(薄、芒)」ですが、その花かすい穂を「ヲバナ(尾花)」と呼び、ススキを屋根などの材料として見立てるときの呼び名は「カヤ(萱)」です。万葉集には「ススキ」で17首、「ヲバナ」で18首、「カヤ」で8首の計43首の歌があります。 ところでこのススキ、咲き始めるのはいつでしょう?「そうね~、9月末頃かしら?」「お月見の時はフワッとしてるからもう少し早いかもね?」お、ほぼ正解。もともと地味な花だからわかりづらいけれど、東海道沿線の気象台の観測では9月下旬から10月初頭です。ただし、ススキの開花は秋の冷え込みによって始まるので、北海道では8月上旬、東北では8月下旬あたりにはすでに咲き始めており、沖縄では10月下旬にやっと開花します。「桜前線の逆だね!」「紅葉と同じコースだよ」まさにそういうことですね。 というわけで、名月のお月見に添えるススキも、暦のズレによる日付と地域の差によってまだツボミのススキであったり、フワフワであったり、あるいは枯れススキであったりするわけです。南北遠方の方とお月見について語るときは「話がかみ合わない!」なんてことにならないよう、ちょっと気をつけてお話しましょう。執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦「秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七ななくさ種の花」    山上憶良(万葉集) オミナエシは、憶良が選んだ秋の七種の内の一種です。 国内では、北海道~九州まで明るい山野に分布する宿根草で、直径3~4㎜の黄色花を散房状に多数付けます。市内では、昔は普通にみられたようで、平成5年発行の豊明市史本文編には、オミナエシについて「昭和三十年代はまだよく見かけられたが今では見つけることも困難になった」旨、記されています。平成13年発行の豊明市史資料編補7自然(目録編)には栽培逸出種として記され、自生種確認の記述はありません。 一昨年の9月、市役所から「今、市内にオミナエシが見られる」という市民からの情報があるという連絡を受け、早速現地を調査しました。住宅地に残る斜面の草地に、野生状態で生育していたが、土地所有者が種子をまいたことが分かり栽培種と確認したことがありました。 豊明のオミナエシは、どこへ行ったのでしょうか。豊明市史(自然)編集委員成田 務オミナエシ(栽培逸出種)傾斜地の草地に群生するオミナエシオミナエシ~姿を消した植物~中国「中秋節」月餅の宣伝広告

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