広報とよあけ 平成30年9月1日号
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33“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのすとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム 節気は処暑の折り返し地点まで進み「これで暑さが和らぐ」との故事をいただきながらも、取囲む残暑に気力不十分な日々を費やしがちなこの頃です。「でも、暑さ寒さも彼岸までって言いますでしょ!」はい、それまで頑張ります!やっぱり日本人にとっては暑さの折り返しは秋のお彼岸というイメージがピッタリですね。 秋の彼岸は秋分の日を中ちゅうにち日にして、その前後それぞれ3日間、計7日間を指しますが、この期間に必ず咲いているのがヒガンバナ。ヒガンバナはヒガンバナ科ヒガンバナ属に分類される種です。原産は中国東部と推定され、日本へは古代稲作の伝来に伴い、すでに田の周りに植えられていたといわれるほど歴史の長い帰きか化植物です。ヒガンバナ属はリコリンという毒性物質を含み、これを農作物の周囲に植えることで、モグラやネズミを作物に近寄らせない効果があることが古代すでに分かっていたんですね。「えぇ?毒があるの?」と、ちょっと不安になってしまいそうですが、口に入れなければ問題ないようです。そういう意味ではアヤメの類やクリスマスローズ、チョウセンアサガオ (ダチュラ)等も毒素であるアルカロイドを含むので、決して食べたりしてはいけませんよ。 『万葉集』巻十一、2480番の歌「路みちの辺の 壱いちし師の花の 灼いち然じろく 人皆知りぬ 我わがこいつま恋孋を」に「イチシ」という名の植物が登場しています。古くからこの「イチシ」がどの種を指すのかいろいろな説が唱えられましたが、戦後、植物研究者の努力によって、これがヒガンバナの中国名「一いちしせん枝箭(イージージエン)」に結び付いていることが確認されました。そのおかげで「イチシ」の記録をもとに、ヒガンバナの歴史を知ることができるんですね。「へ~、植物の研究って花を咲かせたり、新しい品種を作ったりするだけじゃないんだね!」そうですとも!日本のように花が文学と深く結びつき、世界最高峰の花文化を持った国においては、一つの植物の歴史をたどってみるだけでも立派な植物研究だと思いますよ~。これはある意味日本人の特権でもあるわけで、植物研究を趣味の一つに加えていただくのも人生を楽しむコツかもしれませんね。 ヒガンバナで有名なのは半田市矢やかちがわ勝川。毎年9月中下旬には矢勝川堤防沿いが300万本のヒガンバナで真っ赤な色に染められます。来場者は多いですが、良い気候の中、大勢で散歩するイメージで楽しめますよ。         執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦 写真のセミにはお腹の下の方に白いものがついているのがわかるでしょうか。これはセミにくっついて、セミから栄養分を吸い取る寄生を行っているセミヤドリガというガの幼虫です。寄生生活を行った後はセミから離れ、クモが糸でぶら下がるように下に降り、草の上や樹皮などで繭まゆを作って蛹さなぎになります。成虫は8月下旬から9月ごろに見られるものと思われます。 セミヤドリガはスギ林のヒグラシによく寄生するとされています。豊明市史作成時のガの調査では記録できませんでしたが、スギ林もヒグラシも少ない豊明市では珍しい種なのかもしれません。 セミヤドリガの変わった生態は寄生することだけではありません。じつはオスがほとんど見つかっておらず、メスだけでも繁殖できる単為生殖を行う点も変わっています。 ちなみに寄生されたセミが大丈夫なのか気になるところですが、栄養分はとられるものの死ぬほどのことはないようで、繁殖もできるようです。豊明市史(自然)執筆員吉鶴 靖則アブラゼミに寄生するセミヤドリガ幼虫セミヤドリガ~沓掛城址公園で発見。 豊明市史自然編未記録のガ~

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