広報とよあけ 平成30年7月1日号
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35“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのす ワルナスビはナス科の多年草で、日本も含め世界的に帰化している外来種です。アメリカ合衆国南東部(カロライナ周辺)の原産で、ヨーロッパ、アジア、オセアニアに移入分布します。 茎や葉に鋭いとげが多く、種子が家畜の糞などに混じって広がり、垂直および水平に広がる地下茎を張ってあっという間に繁茂します。おそらく畑でこの雑草に困ってみえることでしょう。耕耘機などですきこむと、切れた地下茎の1つ1つから芽が出てかえって増殖してしまいます。また除草剤も効きにくいため、一度生えると完全に駆除するのは難しいものです。 花は白または淡青色で同科のナスやジャガイモに似ており、春から秋まで咲き続けます。果実は球形で黄色く熟し、プチトマトに似ていますが、全草がソラニンを含み有毒であるため食用にはできず、家畜が食べると場合によっては中毒死することがあります。和名は、たちの悪い生態により付けられました。 日本では1906年(明治39年)に千葉県成田市の御料牧場で牧野富太郎により発見および命名され、以降は北海道から沖縄まで全国に広がっています。豊明市史(自然)編集委員        小笠原 昇一こううんきとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムワルナスビワルナスビ〜やたら畑に増え続ける雑草〜 夏至を過ぎ、これからは日足が徐々に短くなっていくものの、なぜか気温は上昇し続ける日本の夏。晴天の早朝に水やりを忘れてしまうものなら、鉢植の草花はあっという間に干物みたいになっちゃうから大慌てのこの頃です。 そんな酷暑の中、葉を青々と茂らせ、花を咲かせるのがフヨウの仲間です。「頼もしい!」そう、日本の夏はフヨウの仲間なくして語ることができません。「フヨウなのに不要でない?」な~んて駄洒落はさておき、今回はフヨウの仲間を代表して、ムクゲについてお話させていただきます。 ムクゲはアオイ科フヨウ属の低木で、インドまたは中国が原産と推測されています。原産地ではないものの韓国では国花として扱われ、国章の図案や国歌の歌詞の中にも登場するなど、厳おごそかな地位を確保しているようです。日本への伝来ははっきりしていませんが、天文5年(1536)華道書『仙せんでんしょう伝抄』に記された奥義に「むくげ」の和名がみられることから室町時代にはすでに中国または韓国から渡ってきたと考えられています。 ムクゲを漢字で書くと「木槿」です。知っているから読めるけど、本来この字を「むくげ」と読むには無理があります。現代中国でも全く同じ漢字を使っていることから、その名称が中国から伝わったことは明らかですが、中国語の発音は「ムージン」なので、ちょっと「ムクゲ」の音までは遠いですね。 では韓国ではどうかというとムクゲは「무궁화」だそうです。「は???」って、ハングル文字は私も読めませんので、これをハングル以前の漢字に戻すと「無ムギュンフア窮花」となるようです。ちょっと音が近づきましたね。この漢字を音読みすると「ムキュウカ」で「花」は沈丁花のように「ゲ」とも読めることを鑑かんがみると「ムキュウゲ」となりました。これが「ムクゲ」に変化して今に至っていると考えれば理解できそうです。「ふぁ~、長い解説ご苦労様でした」いや~、眠くなっちゃいました? ムクゲの花1輪の開花寿命は2~3日と短めですが、7月上旬から9月下旬頃までの間次々と咲く大輪の花を見ることができます。「日焼けしそうな時期に限って咲くのね!」そうです。夏の日差しを大敵とする現代女性にとっては観賞が困難な種類と言えるかもしれませんね。しかしムクゲの樹は低木に分類されながらも3~4メートルに達したものがあちらこちらに見つけられるので、どうぞその木陰からジックリご観賞いただければ大丈夫だと思いますよ。 最後にムクゲの花のイメージをみごとに伝えている短歌を紹介し、ムクゲのお話はこれまで、これまで。。。 「際きわ白く 奥むらさきの 良き花の 木槿おもへば 秋の日かなし」 若山牧水執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦

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