広報とよあけ 平成30年5月1日号
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35“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのすカタヒバ〜豊明市の希少種〜 カタヒバは、多年生常緑のイワヒバ科のシダ植物です。温暖な地に分布し、東北地方南部から琉球諸島を経て、マレーシア・インドまで分布が知られています。岩上や樹上石垣の隙間などに地下茎を延ばし繁殖します。愛知県内には広く分布しており、本市に隣接する名古屋市や日進市などにも分布していて特に希少種として選定されていませんが、本市域においては、希少で、これまでに一箇所だけでしか見ていません。もっと詳細に調査すれば他にも見つかる可能性が有るかも知れませんが、いずれにしても、本市においては希少なシダです。 ところで「カタヒバ」という和名の由来ですが、昔から察して、葉が硬い檜葉、即ち「硬檜葉」と思いがちですがそうではありません。ほんとうは「片檜葉」のようです。同科同属のイワヒバが、枝を四方に放射状に出すのに対し、カタヒバの枝は、同一平面上に三〜四回羽状に展開し、全体として一つの葉のような形態をなす事によるものです。豊明市史(自然)編集委員         成田 務とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムカタヒバ(片檜葉)檜葉に似ている葉 「立てば芍薬 座れば牡丹 歩く姿は 藤の花・・・」「それを言うなら百合の花でしょ?」「えっうそ~、藤の花って着物を着た女性が歩く姿みたいなのに~!」と語呂がいいのでついつい『百合』と『藤』を入れ替えてはいませんか?恥ずかしながら私は30代の頃妻に大笑いされるまで間違って覚えてました。そのおかげでそれ以降は大丈夫ですが・・・。「な~んだ、花市場の理事長でもその程度ですのね」いやはや、面目ない。 と、自虐ネタで始まってしまいましたが、今回はフジについてお話したいと思います。フジはマメ科フジ属に分類される日本固有の種で、古事記に始まり、出雲風土記、万葉集以下歴史に残る日本文学には必ず登場するといってもよいほどの日本を代表する花木です。なかでも紫式部『源氏物語』には光源氏の人生に最大の影響を与えたあの『藤壺の宮』の名称となり、その第十五巻蓬生(よもぎう)にも「大きなる松に 藤の咲きかかりて 月影になよびたる 風につきて さと匂ふがなつかしく そこはかとなき薫(かをり)なり」と風情が語られています。 フジは大きく分けてノダフジとヤマフジに分類されます。公園の一角にある藤棚は一般的にノダフジで作られています。関西から西の山林で見かけるフジの多くはヤマフジです。ヤマフジはノダフジに比べ花は大きめですが、花の房が短く、さらに花と花の隙間が大きいので、観賞性ではノダフジに劣ります。両者の性質の違いとして面白いのはノダフジの蔓つるが左に巻き(上から見下ろした場合は右巻き)ながら伸びあがっていくのに対し、ヤマフジは右巻きで伸びていくところ。この違いを覚えておいて目の前のフジがノダフジの仲間かヤマフジの仲間かを確認するのも楽しいですよ。中には両者の雑種もあるので、ご興味のある方はこの辺りも掘り下げてみるとフジの観賞がより味わい深いものになることでしょう。 愛知県でフジの名所として有名なのは曼陀羅寺(江南市)、いろんな種類の藤棚を見ることができます。また、愛知豊明花き地方卸売市場の生花流通棟北面にはフジの緑化壁があり、ちょっと花着きに難はありますが、7種類のフジがご覧になれます。見頃は5月初旬までです。お早めに!執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦右巻き上がりのフジ愛知豊明花き地方卸売市場のフジの緑化壁

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