広報とよあけ 平成30年3月1日号
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31“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。ちゅうしんせいし しんせいぜんしんせいとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムつくしつくしつくしよそおよそおよそおととのすすすテングチョウ〜生きている化石と紹介されるチョウ〜 チョウは体が柔らかいため、化石が残りづらい昆虫です。その中で珍しく、テングチョウの仲間は化石が見つかっています。発掘されたのはアメリカ合衆国コロラド州で、以前は約1500万年前(中新世)という年代で紹介されましたが、最新の研究では約3400万年前前後(始新世後期か漸新世前期)とされており、かなり古い年代にさかのぼりました。化石があることで古い時代の生き残りとされ、テングチョウは生きた化石と紹介されることもあります。 テングチョウには名前の由来となった天狗の鼻に例えられた風変わりな特徴があります。口の一部が天狗の鼻のように長いのです。この器官の役目はよくわかっていないようで、においを感じているのではないかとされています。 幼虫が食べるのはエノキの葉で、エノキは公園や学校、雑木林などで見られます。成虫が見やすいのは春で、成虫で越冬したチョウが日光浴している姿を、二村山の散策路などで見ることができます。豊明市史(自然)執筆員         吉鶴 靖則二村山緑地散策路で日光浴中のテングチョウテングチョウの顔 三寒四温を潜り抜け啓けいちつ蟄ともなると、春らしい春の足音が聞こえてきます。少し着込んでおけば戸外でゆっくりお花を観賞できるし、もう霜の心配はないので露天で花を植えても大丈夫ですね。 さて、3月の花ですが・・・「桃でしょ」「そうだよね、3月3日は桃の節句だもんね」おやおや?モモはまだ咲きませんよ!ここでいう3月3日は中国の農暦における上じょうし巳の節句が起源の旧暦3月3日、現代の3月末から4月中旬頃です。品種にもよりますが、モモの見頃も3月下旬以降です。「でしたら、今は何の花を見に出かけたらよろしいのかしら?」ということでしたら、ウメをお勧めします。「えっ?梅は正月の花でしょ?」とお考えの方もお見えかもしれませんが、この正月も前出と同様の理由で時期がずれるのでご推察ください。 ウメは奈良時代以前に中国から日本に伝わったと考えられ、万葉集には桜より多い119首が詠まれるほど注目された花木です。平安時代においても数々の歌に登場し、中でも有名なのは菅原道真が庭の梅との別れに詠んだ「東風(こち)吹かば にほひをこせよ 梅花(うめのはな) 主(あるじ)なしとて 春を忘るな」(『拾遺(しゅうい)和歌集』)ですね。 ウメは江戸時代までに育種が進み、天和(てんな)元年(1681)刊の『花壇綱目(こうもく)』には53品種のウメが紹介されており、現在ある品種は500種をこえるといわれています。分類体系も確立されており、果実栽培に向く「実梅(みうめ)」と観賞に適した「花梅(はなうめ)」に大別します。このうち花梅はさらに「豊後(ぶんご)系=杏(あんず)との雑種」「緋梅(ひばい)系=枝の断面が赤いもの」「野梅(やばい)系=豊後・緋梅系以外のすべて」の3系統に分類され、さらに3系統が計9性(しょう)に分けられます。この分類は日本独自の分け方ですが、以前ウメの本場南京市の大学でこの分類体系を紹介したところ、聴講者には伝統的でありながら理にかなっているところに興味を持っていただきました。この分類についてご興味のある方はぜひ調べてみてください。その後のウメの花見が10倍面白くなりますよ! ウメの観賞地として近いところでは知多市の佐布里池の梅林や名古屋市農業センターの枝垂れ梅が知られています。観賞適期は平年通りなら3月中旬くらいまでです。執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦野梅系紅筆性(やばいけいべにふでしょう)西王母(せいおうぼ)

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