広報とよあけ 平成30年2月1日号
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37 いよいよ立春です。春とはいうものの、立春は冬至と春分の中間点。これから気温が上昇する開始点ということなので、まだまだ寒い日は続きますが、この日前後に旬を迎えるのがツバキです。 ツバキは歴史上最も早く文献に著された日本の花木で、推古天皇紀16年(608年)隋の煬帝の詩に「海石榴(ハイシイリウ)」という名称で登場しています。また『日本書記』(720年)“巻七景行天皇”には景行天皇(伝説1~2世紀)が九州で起こった熊襲(クマソ)の乱を鎮めたおり「土蜘蛛に対して海石榴(ツバキ)の椎(ツエ)を用いた」と記載があり、その古さがうかがえます。 ツバキ属はインド北部から東アジアにかけて分布しています。そのうちヤブツバキは学名がCamellia japonica(日本由来のツバキ)と名付けられている日本独自の種で、ツバキ属の北限に生息し、とても寒さに強いことが知られています。このヤブツバキと、同じく日本由来のユキツバキのかけ合わせによって作出された品種がいわゆる「椿」で、江戸時代初期に大流行しました。椿の流行は後陽成天皇がこれを好んだことに始まり、後に後水尾天皇、徳川家康、徳川秀忠と伝染していき、引いては諸大名に愛好されるようになりました。「あら、すごいお方ばかりではありませんの!!」ほんとうですね。特に秀忠は『武家深秘録』に「将軍秀忠花癖あり・・・此頃より山茶(ツバキ)流行し数多の珍種を出す」と記録されるほどの「椿オタク」でした。 椿の開花時期は寒いので、桜の花見のようにはいきませんが、愛知豊明花き地方卸売市場名鉄線路側の緑地帯には120種の椿が植えられています。まだ若い木ですが、3月中旬まで花を見ることができます。興味のある方はどうぞご覧ください。 あ、そうそう、3月と言えば、3月24日㈯には豊明市商工会館で「とよあけ花マルシェ」が開催されます。私もそこにおりますので、皆さん是非お出かけくださいね!執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのすハイゴケ〜身近に見られるコケの利用〜「薬にもならなければ毒にもならない。」と、何の役にも立たない物の代名詞の様に言われることがあるコケですが、意外と人の役に立っていることがあるようです。 市域にはおよそ120種のコケが生育していますが、そのうち最もよく見られるのがハイゴケです。草地・路傍・堤防・田の畦・公園・庭園・丘陵地などの明るい地上や樹木の根元に、光沢のある黄緑色のマット状群落を形成しています。今日、静かなコケブームといわれ、園芸店には「コケ玉」をよく見かけるようになりましたが、この玉の表面を被うのによく使われているのがハイゴケです。 西洋では、ハイゴケを枕の詰め物に利用することがあるようです。ハイゴケの学名につくヒプヌムは、睡眠を意味するギリシャ語が元になっています。これは、ギリシャ神話に登場する眠りの神ヒプヌスに由来するものです。睡眠の用具である枕の詰め物として使用したコケにつけられた名は、人々に安らかな眠りを与える眠りの神ヒプヌスにちなんだものといわれています。豊明市史(自然)編集委員         成田 務 いよいよ立春です。春とはいうものの、立春は冬至と春分の中間点。これから気温が上昇する開始点ということなので、まとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムハイゴケのマット状群落ハイゴケの葉(上半が鎌状に曲がる)椿

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