広報とよあけ 平成29年12月1日号
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37“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムつくしつくしつくしよそおよそおよそおととのすすすアメリカセンダングサ〜秋から、衣服に多数の果実が付いて困る〜 アメリカセンダングサは、キク科センダングサ属の一年草、道端や空き地、湿り気のある荒れ地などに生える雑草です。北アメリカ原産の帰化植物で、本州から九州の各地に生育しています。和名は葉が樹木のセンダンに似ているところからつけられたものです。草丈は、50〜150㎝になり、葉は対生します。 花期は秋で、黄色の頭花を多数つけます。果実は扁平であり、先に向かって幅が広くなります。先には二本の刺があり、下向きにかぎ状の、細かい剛毛が表面にあります。オナモミ、ヌスビトハギなどと同じ「引っ付き虫」と言われます。また、花が終わり実が多数付いていますが、球状に多数の実が二本の刺を外に向けています。触れると必ず刺が服に突き刺さり、しかも細かい剛毛が逆向きになり取りにくいはずです。沢山の実を苦労して取った経験はよくあると思います。種子が若い場合には花序から離れにくいので、花序をつみ取って、勲章の代わりとして遊びに使われることもあります。豊明市史(自然)編集員        小笠原 昇一アメリカセンダングサの花アメリカセンダングサの果実 節季は小しょうせつ雪、そして大たいせつ雪へと年の瀬もすぐとなってまいりました。吹き来る風に寂しさを感じながらも、しばらくは草取りに悩まされなくてホッとしているのは私だけでしょうか? この頃になると、時々私の頭の隅っこに「垣根の垣根の曲がり角・・・」と童謡が聞こえてきます。この童謡の二番は「さざんかさざんか咲いた道・・・」ですね。さて、今回はこのサザンカについてお話ししたいと思います。 年末では、寒さのせいか戸外でお花を楽しむなんて気持ちにはなかなかなれないもの。そのせいか、残念ながら日本人の方から「サザンカって名前はよく聞くけど、どのような花でした?」というようなお言葉を頂戴することもしばしばです。それでも多くの人がご存じのこの花は、各家庭のお庭や公園、そして歩道と道路の分離帯などさまざまな場所に植えられており、年末から年明けに戸外を歩けば必ず目にする花木です。 サザンカは主には日本独自の種で、日本の種では珍しく年末から咲き始めます。江戸時代にはサザンカの新しい品種が数多く作られ、その後もいろいろな品種が作られ今日に至っています。 さて、サザンカは漢字で「山茶花」と書きますね。ちなみに山茶花は中国ではツバキを指します。以前、菖蒲のややこしい話でもお話ししましたが、奈良時代朝廷は日本在来の植物であっても唐国内で植物に当てられた漢字をそのまま日本国内で使ってしまおうと考えたようで、唐の「山茶花(シャンチャーフア)」の記述に合致したのが日本のサザンカで、サザンカには「山茶花」の漢字があてられました。一方、日本のツバキにあてられた「椿」は中国では「香椿(シャンチュン)」という全く別の樹です。 「でも、山茶花って書いてあれば『サンザカ』って読む方が自然でしょう?」そうですね。これにも訳があるんです。江戸時代日本園芸書の元祖である『花かだんぢきんしょう壇地錦抄』には「茶山花のるひ(類)」として50品種のサザンカが記録されています。つまり、サザンカが一般に知れ渡る大きな存在となった初代の園芸書に「山」と「茶」がひっくり返って書かれていたわけです。これをそのまま読むと「サザンカ」になっちゃいます。日本伝統の花々はそのルーツを辿ると話題に事欠きませんね。 日々寒さ増す頃ですが、どうぞひとときの余裕を持ってサザンカをご観賞いただければ幸いです。良いお年をお迎えください。執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦サザンカ

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