広報とよあけ 平成29年10月1日号
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35“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。とよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム 「暑さ寒さも彼岸まで」秋のお彼岸を過ぎ10月ともなると、その陽気に誘われついつい戸外に出ていきたくなります。今年の中秋の名月は10月4日ということで、この日の夜は縁側に芒を置いてのんびり月を眺めてみたいものです。 「お、ということは今月の話題はススキのようですな~?」と思われた方、ごめんなさい、今回の主役はキンモクセイです。 キンモクセイはとても芳香性の強い常緑樹。10月になるとあちらこちらからこの木の香りが伝わってきます。普通花木の存在はその開花時期に、咲いた花を見ることで認識させられるものですが、キンモクセイの場合は先に香りを感じることが多いですね。「あ、この香り。近くにキンモクセイがあるわね?」といった経験をされた方も少なくないのでは? キンモクセイの伝来についてははっきりしていませんが、江戸初期中国より渡ってきたと言われ、原産地は中国広西チワン族自治区から雲南省、いわゆる中国南部です。ちなみに中国ではキンモクセイを“桂花(グイフア)”と呼びます。広西チワン族自治区にあるあの有名な都市桂林(グイリン)は桂花の林、つまり“キンモクセイの林”から付けられたんですね。 日本でもどこででも見ることができるキンモクセイですが、これが本家本元の中国中南部に行くと~? 「行くと~どうですの?」 行ってみると、その数の多さに驚かされます。「キンモクセイを見ない場所はない(鉢植を含む)」といってもいい程(?)です。つまり今の時期中国中南部を訪問すると、キンモクセイの香りでいっぱいです。(意外と知られていませんが)中国旅行をするなら10月上中旬がおすすめですよ~。ただし、日本のキンモクセイの原種と思われる「丹桂(ダングイ、これが最も多い)」は日本のキンモクセイよりやや芳香が少ないです。これに対して「金桂(ジングイ、ウスギモクセイの原形といわれる)」は香りが比較的強く、お菓子の香料にも使われています。 キンモクセイはモクセイ科の樹。モクセイ科には他にライラック、ジャスミンなど良い香りのするものがあります。その他良い香りの代表選手にはジンチョウゲ、クチナシが有名ですね。これから樹を植えることがあれば、香りで選ぶのもアリです。執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦イチモンジセセリ 〜移動するチョウ〜 イチモンジセセリは翅を閉じて花にとまっている姿で二センチを超える程度の小さなチョウです。初夏から秋まで見られますが、とくに夏の終わりから秋の半ばごろに数が急に増えることがあります。 イチモンジセセリは移動をすることが有名で、極端な例では室戸岬沖五百キロという太平洋上の観測船に飛来した例があります。ただ、どのくらいの距離を移動するのかなど、まだ未解明の部分も多いです。移動は大群が目撃されたこともありますが、ひっきりなしに少しずつやってくる場合もあります。豊明市で数が急に増えるようにみえるのは、群れほどはっきりしない移動によるものでしょう。 最近の遺伝子の研究では、小笠原諸島でしか見られないオガサワラセセリが、イチモンジセセリに近縁なことがわかりました。小さなイチモンジセセリが壮大な移動をした結果、たどり着いた小笠原諸島で進化してオガサワラセセリが誕生したのかもしれないと考えると、夢があります。 豊明市史(自然)執筆員         吉鶴 靖則はね大狭間湿地のシラタマホシクサで吸蜜すすき

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