広報とよあけ 平成29年9月1日号
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33“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのすとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラムギンヤンマ(平成29年6月)ノシメトンボ(平成29年6月)トンボから見た豊明の自然  トンボ幼虫の生育期と稲作その四市内小学校プールで生育していたトンボの幼虫の羽化 9月も上旬までは『処暑』と節季にも暑さが表現されていますが、これを過ぎたら待ちに待った秋らしい秋の到来ですね。さて、それまでの間楽しめる花といえば木ムクゲ槿、百サルスベリ日紅・・・う~ん・・・などと考えているうちに、ふとイノシシの姿が頭に浮かんでまいりました。このイノシシは花札の『萩』の1枚で、花札で遊んだことのある人ならみなさんご存知と思います。ただし、今回の主役はイノシシではなく、『ハギの樹』です。 萩という名は日本人なら誰もが聞いたことがあり、人名や地名にも頻繁に登場するとても日本らしい花です。歴史的に見ても、数多くの植物が詠われた万葉集の中でも、その登場回数が当時流行の梅を抑えて花部門第1位を誇ります。そんな輝かしい経歴を持つ萩ですが「萩って、どんな花だっけ~?」と思う人がきっと少なくないと推測してしまうほど現代ではマイナーですよね。ハギはマメ科ハギ属の総称です。マメ科なので、このように花だけ見ると「エンドウ豆の花?」と間違えてしまうほどそっくりです。同じマメ科のフジの花にも似ていますよね。種しゅは日本に10数種ありますが、どれも花はよく似ています。 秋の七草に「萩ハギ 桔キキョウ梗 葛クズ 藤フジバカマ袴 女オミナエシ郎花 尾オバナ花(=ススキ) 撫ナデシコ子」とトップに登場するのは有名ですが、『枕草子』130段「九月ばかり」にも「少し日たけぬれば、萩などの、いと重げなるに、露の落つるに枝のうち動きて、人も手ふれぬに、ふとうへざまへあがりたるも、いみじうをかし。」とその風情が表現されています。 さて、日々涼しくなる折、萩の花を活け、おはぎを片手にお月見というのも洒落てませんか?執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦萩ハギ 秋の風物詩でもある赤トンボが、初秋の黄たそがれ昏時に住宅地の物干し竿や板塀で休息する光景に出合えるのも今では少なくなりました。赤トンボ(アカネ属)の多くの種は幼虫期の主な住すみ処かを従来水田としてきました。しかし、耕地整理(一九七二年以降)や耕作方法の変化及び稲の品種による水の管理(中干し)の時期の多様化等で生育環境が変化してきました。そこで、トンボの幼虫(ヤゴ)の生育との関連について調べてみました。例えば「あいちのかおり」と「コシヒカリ」では中干し(水田の水を抜く)の差が約40日ほどあるようです。また、収穫期の落おとし水みずの差も約43日もあり、幼虫の生き残りや産卵後の卵の生育にも大変厳しい生育環境になったと考えられます。 赤トンボ等一部のトンボの減少の原因を総合的に判断すると、高度経済成長期(一九五五~一九七三年)以降の稲作方法の変化が致命的事象となったようです。しかし、トンボたちも現代社会の環境への順応性を育みながら、市内の現存する河川やため池、そしてわずかに残る水溜りなどで幼虫たちはたくみに生育しています。 そこで、今年は幼虫が育つ可能性の高いプールについて、市内の小学校の協力を得て調べてみました。多くのプールで赤トンボ類のノシメトンボ、アキアカネや他にシオカラトンボ、ギンヤンマ等を多数確認できました。たくましく生きるトンボたちに声援を送りたいと思います。 次回は、古いにしえから人と共存してきたトンボとヒトとの関わりについて考えてみます。 豊明市史(自然)編集委員浅井 常典

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