広報とよあけ 平成29年7月1日号
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31 夏至を過ぎ暑中も近づいてくると、さすがに花オタクの私でも園芸気分が萎えてしまいます。ヨーロッパではガーデニングの季節は夏。でもロンドン、パリの7月の平均最高気温が20度少々なのに対して、東海道の夏は太平洋のモンスーンを受けて30度超えの高温高湿、ガーデニングどころではありません。 それでは日本人は夏の間「花はおあずけ」かと言うと、そんなことはありません。ちゃんとそれに応えてくれるものがあるのですね。 一つは灼熱にみずみずしさを与えてくれる水生植物。ハスとスイレンはその代表です。もう一つは強い日差しを遮り涼感を与えてくれるアサガオに代表される蔓性植物です。アサガオについてのお話は来月に持ち越すことにしますが、種を撒く適期は7月の上旬まで。まだの方はお早めに。 さて、ハスとスイレンは今からが見ごろです。でも「そういえばハスとスイレンってどこが違うの?」という声が聞こえてくるので、これについてお話します。 ハスの茎は比較的硬く、しっかりと自立します。これに対してスイレンの茎は柔らかく、花と葉ともに完全には自立できないので、まるで水面に浮かんでいるようです。 花に注目すると、ハスには雄しべに囲まれた花托(かたく:花の中央にある小さい穴の開いた部分)があります。花が終わると、花托が蓮台(中央の画像)として残ります。が、スイレンには花托は見当たりません。また花が終わると、まるで蕾に戻ったかのようにきれいに花を閉じ、水中に沈んでいきます。 よく見るとハスとスイレンは、全然違いますよね。でも、ハスの本場中国の人と話していても、これらの違いを知らない人が多いです。あ、そうそう、スイレンを漢字で書くと「睡蓮」です。あわてて「水連」と書いたりすると「水泳連盟」の省略になってしまうのでご注意を!執筆 愛知豊明花き流通協同組合 代表理事 永田 晶彦“とよあけ花マルシェ”とは、花の街として豊明市をPRするために花イベントや花関連商品などにより、花に親しむ暮らしをお届けするものです。毎月花情報を連載しますので、お楽しみください。つくしよそおととのすホオジロ 〜宅地開発や      燃料革命で減少〜 5月の広報では近年数が増えた野鳥カワウが紹介されましたが、今回は逆に減少したホオジロを取りあげます。 ホオジロは背丈の低い木からなる明るい林や草原を好みます。かつての豊明の丘陵地は各所でマツの低木が一面に生え、初夏にはあちこちからホオジロのさえずりが聞こえてきたものです。 こんなホオジロの楽天地に変化の波が押し寄せました。住みかの緑地は二村台の宅地開発などにより大幅に減少し、残った緑地にも大きな変化が訪れます。たきぎなどの採取により背丈が低く抑えられていた林はプロパンガスの普及等によって人の手が入らなくなり、木々は伸び放題となりました。その結果、マツの低木林はヒサカキなどの常緑樹に覆われる暗い林に変貌し、明るい場所を好むホオジロは林の周縁や河川敷などに追いやられ、数もずっと減ってしまったのです。 こんな過去を背負いながら低木の梢で胸を張ってさえずるホオジロの姿を見るとつい「頑張れよ」と声をかけたくなってしまうのです。 豊明市史(自然)執筆員         浅野 守彦 夏至を過ぎ暑中も近づいてくると、さすがに花オタクの私でも園芸気分が萎えてしまいます。ヨーロッパではガーデニングの季節は夏。でもとよあけ花マルシェコラムとよあけ花マルシェコラム電線にとまるホオジロのオス(勅使池にて三好善一氏撮影)つるせいハススイレン

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