とよあけの自然 

ガガブタ ~レースに縁どられた白い花~

ガガブタの画像

 池や沼に生育する多年生の浮葉(ふよう)植物です。径10~20センチの卵状円形の葉を水面に浮かべ、7~9月頃、径15ミリ位の白花を水面上に伸ばして咲かせます。5裂した花は縁が細かく糸状に裂け、レースで縁取られた様できれいです。夏の終わり頃、葉柄の基部(葉の裏側)にはバナナの房に似た形の殖芽(しょくめ)ができています。水槽用の植物として売られている北米原産のバナナ・プラントも越冬芽がバナナの房の形をしており、ガガブタとは近縁の種です。
 ところで「ガガブタ」と言う変わった名前にはどんな意味があるのでしょうか。確かな根拠はありませんが、葉の形が昔、鏡を入れた箱のふたに似ているところから「カカミフタ」と呼んだものがなまったと言う説があります。
 かつては本州~九州の平野部の池沼に普通にみられた種でしたが、現在では著しく減少して、国の絶滅危惧種、愛知県の準絶滅危惧種に選定されています。本市では濁池以外には生育が確認されていない極めて希少な種です。

 

市史編集委員 成田 務