とよあけの自然 

コクサグモ ~ 枝葉に棚網を張る~

コクサグモの画像

  タナグモ科のコクサグモは都市郊外から山間部に至るまで、広範囲に分布しています。校庭・公園・庭などに垣根があれば、まず複数生息しているでしょう。ジョロウグモと同じように身近なクモのひとつです。メスは秋に産卵し卵のうを作ります。卵で冬を越し翌春に孵化(ふか)し、子グモが卵のうからはい出てきます。子グモの体長はわずか3ミリ足らずですが、脱皮を繰り返すごとに成長し、夏には成体となり体長12ミリほどになります。棚網(シート状)は直径30センチ前後で枝葉に作ります。奥がトンネル状の住居となり、普段はその入り口に潜伏して、餌となる昆虫を待ち伏せします。網には粘る糸はありませんが、棚網には多くの糸が不規則に張られているので、いったん迷い込んだ昆虫はなかなか脱出できません。その振動を察知し、住居から飛び出して捕獲します。餌は住居の中に運び込んで食べます。警戒心が強く、近づくと一瞬に住居の中に隠れてしまいます。さらに危険を感じると奥から脱出します。

 

市史執筆員 緒方 清人