とよあけの自然 

ハラビロトンボ ~晩春の頃畦道でからだが黒くみずみずしいトンボに出合うことがあります~

ハラビロトンボの画像

 本種の幼虫は、冬のほとんど干上がった水田などでも生きのびることができます。多くのトンボは低温乾燥には耐えることはできませんが、このトンボは驚異的な乾燥耐性があります。その 訳は、ヤゴの皮膚が厚く細かい毛が生えていて、付着した泥のおかげで、からだの水分が失われにくいからであると思います。
 多くのトンボは天敵をさけ、夜中から早朝にかけて羽化し、朝日が昇ると間もなく飛び去ります。しかし、ハラビロトンボは10時ごろ畦道(あぜみち)を歩いていると、みずみずしい羽を輝かせ
足元から飛び上がるのに出合います。
 名前については文字通り、腹の幅が広いトンボで、からだは黄色と黒色の縞模様ですが、雄は成熟すると黒くなり青灰色の粉を吹きます。雄と雌が飛び交うところでは別種と見ちがうほど体色が異なっています。
 市内でも晩春から初夏に水田の畦道や湿地でよく見られ、シオカラトンボよりひと回り小さな美しいトンボです。

 

市史編集委員 浅井 常典