とよあけの自然 

地層は過去を物語る その3 ~ 安定した川の流れの証拠~


地層は過去を物語る(その3)の画像

 写真1は、栄町 で観察された八事層と呼ばれる地層です。地層中には丸いものや平らなもの、長細いものなどさまざまな形の礫(れき)が見られます。特に平らな礫や細長い礫では、ある面を一定方向へ向けて平行に配列しているのが観察できます。これはインブリケーションと呼ばれる構造で、礫層を堆積させた河川の水流と密接な関係があります。
 現在の河川あ(写真2)で礫を観察すると、同じようにインブリケーションが観察できます。これは川の流れに対して、礫が最も抵抗の少ない状態で配列したためにできる構造なのです。インブリケーションは水流が安定した河川のもとで、地層が堆積したことを示しています。また、その配列方向を測定すると、川の流れていた方向(古流向)を知ることもできます。
 栄町 にみられる八事層は、礫のインブリケーションの観察により、東から西方向へ流れる安定した河川の作用によって、堆積した地層であると推定できます。

 

市史執筆員 宇佐美 徹