とよあけの自然 

セスジアカムネグモ ~ 冬眠しない水田のクモ~

セスジアカムネグモの画像 

 初夏に孵化したジョロウグモは、晩秋まで生き続けるが越冬はできません。産卵後は死んでしまいます。オニグモは幼体で樹幹や物陰などの隙間で冬眠し、翌夏に成体になります。このように、多くのクモは厳しい冬を卵のうか幼体で過ごします。しかし、冬眠することなく、元気に活動している種類もいます。体長3ミリほどの微小なサラグモの仲間です。写真のセスジアカムネグモやニセアカムネグモは1年中観察することができます。孵化から成体になるまで4か月ほどを要し、年3回ほど世代交代をしているからです。
 水田には大小20種類ほどのクモが生息しています。その中でも、セスジアカムネグモがもっとも個体数が多く、田植え前に行われる田おこし後の土の隙間に、5センチほどの皿状の網を張っています。ときには、白いシートを一面に覆ったかのように見えることさえあります。トビムシやハダニなど小さな生き物を食べています。

 

市史執筆員 緒方 清人