とよあけの自然 

地層は過去を物語る その2 ~大昔の河原の石~

地層は過去を物語る(その2)の画像 

 最近、地層を学ぶ人の間で、河原の石を観察することがはやっています。河原の石を調べると、その川の上流地域に分布するさまざまな岩石が、一度に観察できるからです。残念ながら、市内の河川は河原の石を観察するのにあまり適していません。川の流れが緩やかすぎるためです。しかし、市内の丘陵部に目を向けると、大昔の河原の石が観察できます。写真1は、勅使台の南に見られる礫層(れきそう)です。この地層は東海層群矢田川累層に含まれる地層で、今から約300万年前に堆積したものです。礫層中の石の種類を調べるとチャート、濃飛流紋岩のうひりゅうもんがん(写真2)、ホルンフェルスなどが見つかります。この中でも濃飛流紋岩は、岐阜県飛騨・東濃地域に限られて分布しています。
 矢田川累層が堆積した時代、飛騨・東濃地域を上流域とする河川が市内を流れ、上流から運ばれてきた当時の河原の石が、礫層として保存され、市内の丘陵部で観察できるのです。

 

市史執筆員 宇佐美 徹